太陽7話 最高の王子

パレードの開始を知らせるファンファーレが高らかに鳴り響き……

着飾ったダンサー達が、リズムに合わせて楽しげに舞い踊る。

(賑やかなパレード……!)

花吹雪が舞い散る中、観衆の熱気は最高潮に達していた。

サイ「……」

サイさんは馬車の上から、沿道の人々に笑顔で手を振っている。

(サイさん、自然な笑顔……よかった)

沿道の民「サイ様、素敵ー! ○○様ー!」

私も緊張しつつ手を振り返し、皆の声援に応えていた。

その時……

立ち入りが禁止されているはずの道路に、男の子が駆け出して来た。

男の子「やっぱり、昨日のお兄ちゃんはサイ王子だったんだ!」

サイ「!」

(危ないっ……!)

突然飛び出してきた男の子に驚き、馬は立ち上がらんばかりに前足を持ち上げる。

○○「っ……!」

馬車が揺れて、前のめりに倒れかけた私の体を、サイさんが力強く抱きとめてくれた。

サイ「馬車を止めろ!」

(サイさん……!)

サイ「怪我はない?」

○○「は、はい」

私の無事を素早く確かめた後、サイさんは馬車から飛び降り、尻餅をついた男の子に駆け寄る。

サイ「大丈夫かい?」

男の子「サイ王子……」

サイ王子は膝をつき、男の子の手を引いて起こしてやる。

サイ「馬車の前に飛び出してくるなんて、危ないよ?」

サイさんが、言い聞かせるように男の子を叱った。

男の子「ごめんなさい……またサイ王子に会えたから、うれしくて」

サイ「……」

サイさんは、しゅんと肩を落とす男の子をじっと見つめていた。

(サイさん……)

観衆と共に息を詰め、サイさんの反応を待っていると……

サイ「ああ……僕もだ」

サイさんは男の子に手を伸ばし、そっと頭を撫でた。

サイ「もう一度君に会えて、うれしいよ」

その優しい表情に、私まで胸がじんと温かくなる。

(やっぱり、サイさんはとても素敵な人……)

子どもの父親「申し訳ございません! 息子が粗相をいたしました……!」

男の子の父親が青ざめた顔で飛び出して来て、サイさんに何度も頭を下げる。

柵を越えて、男の子が沿道へ連れ帰られる間際……

男の子「サイ王子は、すごくかっこいい王子様だ!」

無邪気な笑顔で、そう声高に叫んだ。

サイ「……ありがとう」

サイさんが照れ混じりに苦笑を漏らす。

○○「……私もそう思います」

馬車を降りた私は、サイさんの傍らに立って笑顔を向けた。

サイ「○○……」

沿道の民「サイ様ー! サイ王子、こっち向いてー!」

沿道から、次々とサイ王子の名前が呼ばれる。

○○「皆さん、サイさんを待っていますよ」

サイ「ああ……そうだね」

サイさんに向けて、観衆から盛大な拍手が送られる。

彼は、すべての視線を受け止めるように周囲を見渡し、丁寧にお辞儀を返した。

私もそれに倣うように、膝を折って、観衆に礼をする。

サイ「こんなに大勢の人の前に立つのは、初めてだよ……」

私だけに聞こえる声で、サイさんがぽつりとつぶやく。

○○「はい……皆さんに歓迎していただいて、とても嬉しいです」

サイ「うん……僕もだ」

生まれ持った美しさと、溢れ出る気品に加え……

サイさんの凛々しい振る舞いに、観衆は魅了され続けていた…―。

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