太陽9話 交わした約束と花

静まりかえった夜の部屋で、アマノさんの強い瞳が私をただ見つめている…ー。

アマノ「君にお願いがあります」

○○「私に……できることなら」

アマノ「……ありがとうございます」

ふっと目元を和らげ、彼が胸元から取り出したのは……

○○「これって……」

アマノ「はい。先ほど庭で摘んできました」

彼の手の中にあったのは、可憐な一房の藤の花だった。

微かに夜露に濡れた藤が、慎しく彼の手の中で咲いている。

アマノ「君にこの花を持っていて欲しいのです。 僕の帰りを待ちながら、どうか祈っていて欲しいのです」

彼の手が、私にその花を優しく握らせる。

ひんやりとした夜露が指先を濡らした。

(どうして……)

その冷たさが、胸を意味もなく締め付ける。

アマノ「……難しいでしょうか?」

○○「いいえ!そんなことはありません。 けど…ー」

言いようもない不安に駆られ、私はアマノさんをただ見つめた。

アマノ「僕は駄目ですね……君にそんな顔をさせたい訳じゃないのに。 僕自身も不安なんです。強く決心したはずなのに……。 微かに残る僕の中の迷いが……この弓を引く腕を狂わせてしまわないか……」

○○「……っ」

寂しげに伏せられた瞳を見てられなくて、私は首を横に振った。

○○「……待っています。だから必ず無事に戻ってきてください」

アマノ「……○○」

彼の手にもう一度、体がふわりと抱き寄せられる。

○○「あ……」

前髪が搔き上げられ、柔らかな口づけが額に落とされた。

アマノ「どうか、祈っていてください……それだけで僕は…ー」

耳元に囁かれた言葉は、私の心の中に強く強く焼きついた…ー。

翌日…ー。

討伐のために身を固めたアマノさんがアカグラを旅立った。

私は彼から預かった藤の花を手にして、その姿を見送ったのだった…ーー。

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