アインツ「やああああっ!!」
金属がぶつかる、激しい音が聞こえて……
アインツさんの剣が、相手の剣を弾いた。
歓声がわき上がる。
(アインツさんが勝った……!)
観客の声援に答えながら、アインツさんが私の方へとやってくる。
徐々に近づく彼の姿に、私の胸がドキドキと音をたてはじめる。
アインツ「見たか? オレの雄姿!」
○○「はい! すごかったです!!」
アインツ「だろう?」
屈託のない彼の笑顔に、私も自然に笑みがこぼれる。
(やっぱり、アインツさんは笑っている方がいいな)
アインツ「この調子でいけば、この後の競技も勝てる気がするな!! そうだ!」
○○「え……?」
コホンと咳払いをすると、アインツさんは真剣な瞳で私を見つめた。
アインツ「オマエに言っておかないといけない事があるんだ。 オレが一番をとったら…―」
アナウンス
「まもなく第二試合です。競技に出場する方は、開始地点に集まってください」
アインツ「……くれ!」
○○「え……?」
呼び出しのアナウンスの声に、アインツさんの声がかき消されてしまった。
アインツ「もう時間がきたみたいだな。 じゃあ行ってくる! 最後までオレの応援よろしく頼むぞ!」
○○「あっ……アインツさん……!」
手を振り、アインツさんが颯爽と駆け出した。
○○「最後……なんて言ったんだろう……」
取り残された私は、ひとり首を傾げていた…―。