第1話 蛇をまとう人

毒薬の国・モルファーン…-。

静寂の中、木漏れ日が漏れる。

小粒でかわいらしい赤い実や、鮮やかな色をした花々が、誘うように咲き誇っている。

(これ全部、毒なんだよね)

この国には、猛毒を持つ植物がたくさん生えている。

美しさに惹かれてひとたび触れると、手はかぶれ、食べると死に至ることもある。

??「美しさの中にこそ危険がひそんでいる。 って、ワーズワスが言ってる」

〇〇「スネークさん」

振り返ると、蛇を腕に絡めたスネークさんが、遠慮がちに私を見つめていた。

スネーク「……帰る方法、なかなか見つからねえな。 って、オスカーが言ってる」

〇〇「……そうですね」

スネークさんは、異世界から突然この夢世界へと迷い込んでしまったらしい。

聞くところによると、乗り込んだ豪華客船が深い霧に飲まれ、気づいたらここにいたそうで……

(帰る方法を探すお手伝いをしてるけど、結局わからないまま……なんだか申し訳ないな)

スネーク「! せ、責めてるわけじゃない。 って、ダンが言ってる……」

彼の瞳に、影が差す…-。

(異世界からここへ来た……私みたいな人が、他にもいるなんて)

〇〇「スネークさん……諦めないで、なんとか手がかりを見つけましょう。 私もできる限りのことを、やってみますから」

スネーク「……」

伏し目がちの瞳が、うかがうように私を見て……

スネーク「お前は……俺達を怖がらないのか? って、ダンが言ってる」

(怖がる?)

〇〇「どうしてですか?」

思わずじっと見つめてしまうと、スネークさんが戸惑うように目を逸らした。

スネーク「な、なんでもない! って、ワイルドが言ってる」

彼の背から数匹の蛇が顔を覗かせる。

(最初は確かに、驚いたけど……)

すっかり見慣れた蛇達に、私は微笑みを返すのだった…-。

第2話>>



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