第3話 友達のはじまり

シリウスとの友人関係が始まった…-。

ほぼ冷めてしまったティーカップの中の紅茶を飲みながら、シリウスはぼんやりと空を仰いでいた。

〇〇「あ、あのね、シリウス。あなたが好きだって言ってたクッキーを焼いてもらったんだよ」

シリウス「ああ」

〇〇「それから、紅茶もこの銘柄のものが好きだって聞いて」

シリウス「ああ、好きだな。でも冷めてる」

〇〇「……冷めてるのは、シリウスがなかなか飲まなかったせいじゃ」

シリウス「あ?何か言ったか?」

〇〇「な、何でもない」

シリウスは、深いため息を吐いた。

(私も、ため息が出そう……)

シリウスと友達になるためには、と一生懸命考えて、たくさんおしゃべりができるようにと、お茶会を開いてみた。

だけどシリウスは、終始こんな調子で……

シリウス「プロキオンのやつ、今頃何してるかな」

カップを持っていない方の手で頬杖をつきながら、シリウスがぼそりとつぶやく。

(また、プロキオン君のこと……)

なぜだか、寂しさが胸にこみ上げる。

〇〇「……何だかシリウスって、プロキオン君に恋してるみたい」

シリウス「なっ……!」

シリウスが、今にも紅茶を吹き出しそうになった。

シリウス「なっ、何言ってんだよ! プロキオンは男だぞ!弟みたいなもんだ」

〇〇「でも……」

(いつも、プロキオン君のことばかり考えてる)

〇〇「私と、一緒にいるのに……」

思わずこぼれた言葉に、はっとして手で口を押える。

シリウス「そ、それはそうだけど……。 ……わ、悪かったよ」

しゅん、としょんぼりする姿は、子犬みたいで可愛らしい。

(本当に、子どもみたいな人……)

シリウス「友達、やめたくなっただろ」

〇〇「え……?」

シリウスが不意に、悲しそうな顔になってそう言った。

〇〇「そんなはずないよ。 シリウスは優しくて面倒見がいいから、プロキオン君が気になるのもわかるよ。 冷たい人より、全然いいよ」

シリウス「オ、オレは別に、優しくなんか……」

照れて、ほんのりと頬を染めているシリウスは、やっぱり可愛かった。

シリウス「アンタ、変な奴だ」

ぷい、とシリウスが顔を逸らしてしまう。

けれど、ふくれっ面ながらも、私を拒絶している雰囲気はない。

〇〇「だってシリウスは、私のこと嫌いじゃないって言ってくれたから」

シリウス「だから、友達になれるって?」

〇〇「うん……」

シリウス「あーあ。プロキオンのやつ、一人で大丈夫かな」

〇〇「あ、またプロキオン君の話」

シリウス「う……し、仕方ねえだろ!気になるんだからさ!」

ばつの悪そうな顔をするシリウスに、笑みがこぼれる。

〇〇「うん。気にしてもいいと思う。 けど……お父様が心配されてるのもわかるかな。 シリウスは、未来の王様だから」

シリウス「わかってるよ。けど、父上はあんなピンピンしてるし、そんな先のこと考えらんねえ。 ついか、考えたくねえって方が、正解かな。 アンタだって、オレが王様になった姿を想像すんの、難しいだろ?」

〇〇「うーん……。 想像できるよ。たぶん、ちゃんとやってるんじゃないかな」

シリウス「たぶんって、何だよ。アンタも適当な女だな」

〇〇「だ、だって……」

シリウス「ま、いいけどよ」

シリウスは、くすりと笑ってくれた。

シリウス「まあ、王様になる未来も、考えなきゃなんねえけどな。 ってオレ、何でアンタにこんなにベラベラとしゃべってんだろ」

シリウスは、一気に口の中へ残りのクッキーを押し込むと、椅子から立ち上がった。

〇〇「シリウス?」

シリウス「今日は終わりにするぞ。何か……しゃべりすぎちまったしな」

口ごもるような感じでシリウスは言うと、さっさと立ち去ってしまった。

(シリウス……。また何か楽しいことを考えて、誘ってみよう……)

次回のことを考えると、胸が躍る自分がいた…-。

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