第1話 シリウスの表情

星の国・ケイネス 彩の月…-。

(何て綺麗なお庭……)

侍従「こちらでございます。〇〇様」

思わず、花でいっぱいの城の中庭の光景に目を奪われて足を止めていると、案内してくれている男性が、私をやんわりと促してくれた。

〇〇「は、はい」

シリウスを眠りから目覚めさせた私は、彼の住む星の国ケイネスへと招待されていた。

国王様に会うべく、中庭を歩いていると…-。

シリウス「待てよ!プロキオン!待てってば!!」

遠くから声が聞こえてきた。

それと共に、慌ただしい二人分の足音。

(あれ……この声……)

シリウス「ったく。危ないから、遠くに行くなって言ってんのに。どこに行ったんだ」

(やっぱり、シリウスだ)

シリウスは、誰かを見失ったのか、きょろきょろと辺りを見回しながら歩いている。

シリウス「ん……?何か、いつもと違う、いい匂いがしてくるような……。 この匂いって……」

私に気づいて足を止めた。

シリウス「あっ、やっぱりアンタ……!」

一瞬、嬉しそうな顔をしたかと思ったけれど、その直後、シリウスはぶすっとしかめっ面になった。

(どうしたんだろう。私、何か気に障ることしたかな……)

〇〇「あ、あの。こんにちは」

シリウス「……おう」

〇〇「目覚めてから……体の調子はどう?」

シリウス「調子は別に、前と変わらねえよ。 オレを助けてくれたのは礼を言うけど、つうか、目覚めてすぐに、もう言ってるけど。 そんなに気にしてくれなくていいから」

シリウスは、やはり仏頂面のまま、拗ねたような口調で言う。

〇〇「あの、私何か嫌われるようなこと、したのかな……?」

シリウス「え?」

〇〇「だって、なんだか不機嫌そう……」

シリウス「べ、別に、嫌いじゃねえよ。でも、急に馴れ馴れしくするのも、変だろ! それに……」

〇〇「っ!?」

スッと、シリウスの顔が近づいてきて、私の首筋へ鼻を寄せた。

突然近づいた距離に、ドキン、と胸が音を立てる。

(シ、シリウス……?)

そのまま固まってしまっていると、シリウスは長いまつ毛を揺らし、まばたきをした。

粗野な印象を受ける言動とは異なり、顔立ちは端正で、不思議と鼓動が速まっていく。

シリウス「アンタの匂いは、嫌いじゃねえから……」

ふっ、とシリウスは笑い、吐息が首筋をかすめた。

〇〇「あ、シリウス……」

するとシリウスはまた…―。

シリウス「おーい、プロキオン!」

誰かを捜して、私から背を向けてしまった。

(一体、何だったの……)

ドキドキする胸の部分をぎゅっと手で押さえながら……

その後私は、予定通り国王様のもとへと向かった…-。

第2話>>



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