第1話 色鮮やかな街で

色彩の国・ファルベール 影の月…-。

足を踏み入れた瞬間、色鮮やかな街並みに目を奪われた。

〇〇「なんて綺麗な街なんだろう」

赤や緑、黄色や桃色……色とりどりに塗られた家々が立ち並び、染めたばかりなのか、色彩豊かな布がベランダや軒下でたなびく。

(ここにウィルさんいるんだ)

空を仰ぎながら、この国に私を誘ってくれたウィルさんを思い浮かべた。

―――――

ウィル『映画制作でファルベールに行くんだ。よかったら君も来ない?』

―――――

(ウィルさんはそう言っていたけれど……)

映画の国・ケナルの王子にして、ホラー映画の監督として世界に名を馳せているウィルさん……

(今回も、もちろんホラー映画の制作だよね)

(でも、この綺麗な風景……なんだかうまく結びつかないな。どんな映画なんだろう)

あれこれ想像を膨らませていると…―。

ウィル「綺麗なものを見て微笑み君もいいけれど、僕はやっぱり怯えた表情の方が好みかな」

ウィルさんが指で視界を切り取りながら、私の方へやって来た。

〇〇「ウィルさん!」

ウィル「やあ、よく来たね。待っていたよ」

眼鏡の向こうの瞳を細めて、ウィルさんが微笑む。

〇〇「はい。ウィルさんの映画制作が気になって。あの、ここで撮影を?」

ウィル「いいや、この国には映画の小道具や衣装の制作で世話になっていてね。その関係で来たんだ」

〇〇「小道具と衣装?」

ウィル「そう。そこで君が必要なんだ」

〇〇「私……ですか?」

ウィルさんの笑顔に、私は思わず身構えてしまう。

恐怖に怯える人の顔が好きなウィルさん……

(もしかして、また私を怖がらせようとしてる……?)

ウィルさんの表情から読み取ろうとしても、飄々とした笑顔からはその真意がうかがえない。

ウィル「君の怯えた顔はやっぱりいいねぇ」

(やっぱり……!?)

ウィル「けど、今回は君のアイディアが必要なんだ。他でもない君の、ね?」

ニヤリと微笑んだかと思うと、ウィルさんは真剣な表情を浮かべる。

いつもと違う眼差しに、私は思わず……

〇〇「私でよければ……」

警戒していたのも忘れて、そう答えていた。

ウィル「ありがとう、〇〇!」

私の手を握りしめると、ウィルさんが嬉しそうに微笑む。

(こんなに喜んでくれるのなら……)

色鮮やかな景色の中、胸が高鳴っていくのを感じていた…-。

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