受付にやってきた私達は早速、用意していたエントリーシートを提出した。
受付「少々お待ちください」
〇〇「どんな異能力をもらえるんでしょうか……」
はやる気持ちを抑えきれず、そわそわとしていると…―。
カノエ「そんなに心配しなくても大丈夫だ」
落ち着いた声が耳に届き、隣にいるカノエさんを見上げる。
カノエ「先ほどは隣で支えたいと言われたが、やはりお前のことは俺が守ってやりたい。 どんな能力が与えられてもな」
不意に告げられた言葉に、どんな顔をすればいいかわからない。
〇〇「嬉しいです」
カノエ「当然のことだ」
なんのてらいもなく言い切るカノエさんに、さらに胸が熱くなった。
(本当に当然のことだと思ってくれているんだろうな……)
甘い空気に優しく包まれた気がした、その時…―。
受付の人が、私達の元へ急ぎ足で戻ってきた。
受付 「お待たせしました、受け付けは完了です」
カノエ「いよいよか」
私達に、異能力が込められた駒が渡される。
〇〇「緊張しますね」
カノエ「ああ……早速確かめてみよう。作戦も立てないといけないからな」
〇〇「はい」
私達は緊張しながら、まずは自分達の駒に与えられた異能力を確認した。
カノエ「これは……」
カノエさんの少し固い声が聞こえて、緊張が走る。
〇〇「カノエさん?」
(もしかして、扱いづらい能力だったとか……?)
カノエ「……チーム全員の力を集めて、強い攻撃技を繰り出す力だ」
〇〇「……!すごく強力な異能力じゃないですか」
心からそう告げたものの、それでもカノエさんは眉を寄せたままだった。
カノエ「そのかわり、チームメイトの攻撃力が大幅に下がるらしい」
(……!確かに、使う局面を間違えれば一気に不利になってしまうかも)
カノエ「それで、お前はどうだったんだ?」
話を振られ、私は自分の異能力の説明をする。
〇〇「えっと、私は……一ターンに二回行動することができる能力だそうです。 でも、使えるのは一試合一度だけみたいですね」
カノエ「なるほどな」
〇〇「上手く使えば、かなり有利になりそうですが……」
カノエ「ああ……」
私は、少し歯切れの悪いカノエさんを見上げた。
カノエ「……まずは作戦会議だな」
〇〇「……はい」
カノエさんの不安そうな顔に、私は妙な胸騒ぎを覚えるのだった…-。