審判の国・アルビトロ 星の月…-。
憧憬の国・チルコの王子であるウェルガーくんとドローレくんの主催する『クリスマス・サーカス』が、アルビトロでも開かれることになり……私は、彼らと共にこの街を訪れていた。
(綺麗……)
クリスマス飾りと白い雪に彩られたアルビトロは、見ているだけで心が浮き立つ。
(皆、とっても幸せそう)
街中には、寄り添いながら歩く恋人達がたくさんいた。
その幸せそうな姿に気を取られていた時…-。
??「おっと」
〇〇「! すみませ…-」
こちらに歩いてきた人とぶつかってしまい、倒れそうになったところを支えられる。
??「大丈夫? ……って、〇〇?」
(あれ、この声って……)
聞き覚えのある声に、顔を上げると……
〇〇「ラスさん!?」
ラス「うん、久しぶりだね。 ふふ。よそ見してたら危ないよ?」
そう言って、ラスさんは私の腰を抱き寄せた。
ラス「キミはかわいいんだから。隙だらけだと……こんなこともされちゃうかもよ」
〇〇「……!」
ぎゅっと抱きしめられて、鼓動が少しだけ速くなる。
それが伝わってしまわないように、身じろぎすると……
ラス「なんてね。 それにしても、こんなところで会えるなんて……オレの願いが通じたのかな」
くすくすと笑いながら腕の力を緩めたラスさんが、じっと私の瞳を見下ろしてくる。
(願いって……?)
長いまつ毛に縁どられる瞳は、妖艶さが際立っていたけれど、それ以上に、包み込むような優しさを感じられたのだった…-。