やがてやってきたダンスパーティーの日・・・・ー。
(変じゃないかな・・・・)
セフィルさんがプレゼントしてくれたドレスを身につけ、私は鏡の前に立っていた。
(本当に綺麗なドレス)
陽の光を受けて淡く光る、純白のドレス。
その美しさに目を細めていると、不意に扉がノックされた。
セフィル「よろしいでしょうか」
〇〇「は、はい・・・・」
扉の前に立ち、セフィルさんはしばし私を見つめる。
セフィル「・・・・綺麗だ。 いえ・・・・お美しい」
その言葉に、頬を染めてしまう。
(また・・・・)
そっと胸をおさえる私に、セフィルさんが恭しく手を差し出す。
その手を取ると、私は胸の高鳴りを隠して歩き出した。
会場に足を踏み入れると、たくさんの人々がきらびやかな衣装に身を包んで歓談している。
人々の注目の中、扉の前で高々と入場を告げられた。
扉番「セフィル王子と、トロイメア王家〇〇姫のご入場」
たくさんの人からの挨拶を受けていると、あのワルツが流れ出す。
(この曲・・・・)
するとセフィルさんは、私の前に恭しく膝をついた。
セフィル「踊っていただけますか・・・・プリンセス〇〇」
(・・・・!)
突然のことに胸が音を立て、私は答えることができない。
物語の中から抜け出したようなその光景に、会場中からからため息が漏れた。
(こういう場合、物語の中のお姫様はどうしていたっけ)
(そうだ)
セフィルさんの手にそっと指を重ねると、セフィルさんがその指を握った。
指先から、全身に甘い痺れが広がっていく。
(なんだか、胸が苦しい・・・・)
腰を抱かれ、セフィルさんの吐息をすぐ側に感じる。
ダンスを踊っている間中、私の心臓がトクントクンと音を立てていた。
セフィル「ありがとうございます。 はじめは、国の為、そして自分の為にと思っていたのですが・・・・。 貴女と踊れることを、心から喜んでいる自分がいる。 貴女をお慕いしはじめている私がいる」
(え・・・・っ)
セフィル「困らせるつもりはないのです。 どうぞ・・・・お忘れ下さい。 どうか、このままで」
(私もセフィルさんと踊れるのが嬉しい)
(ずっと、この曲が終わらなければいい・・・・)
胸を甘くかき乱す感情の名前に、私は気がつきはじめていた・・・・ー。