天の国・エンゼ、白の月・・・・ー。
空の彼方から、雪の結晶が舞い降りてくる・・・・ー。
(雪が、綺麗・・・・)
一週間後に行われる、天と地の国の国交復活祭に招かれ、私は天の国・エンゼを訪れていた。
(夢の中みたい)
柔らかな雪が降り積もり、辺り一面がきらきらと輝きを放っている。
私は思わず目を細めた。
セフィル「いかがですか?我が国は」
〇〇「とても綺麗ですね」
私を案内してくれているセフィルさんの声が、降り続く雪の中に吸い込まれる。
セフィル「もっと美しいこの国の姿をお見せすることもできます」
〇〇「もっと美しい姿・・・・?」
私が振り向くと・・・・ー。
セフィル「失礼、○○様」
〇〇「えっ」
セフィルさんは私をふわりと横抱きにした。
純白の翼が静かに羽ばたき、セフィルさんが飛び立つ。
〇〇「わあ・・・・」
だんだんと雪原が遠ざかり、私はその美しさに思わず息を呑んだ。
セフィル「ご覧ください。 あちらの雲の上には神殿。 〇〇様が本日よりご滞在になる王宮は、あちらの一番高い雲の上に」
誇らしげな声の方を見上げると、セフィルさんが優しく微笑みかけてくれた。
〇〇「天の国の人達は、みんな翼を持っているのですか?」
セフィル「はい。王族だけではなく街の者も皆、翼を持っていますよ」
〇〇「こんな景色がいつでも見られるなんて、とても素敵・・・・」
セフィルさんの金色の瞳が、優雅に細められる。
(天使がもしも本当にいるなら)
真っ白な空を舞うセフィルさんは、まつ毛に粉雪をのせていて、
その清らかさが、私の唇から言葉を奪う。
(きっと、こんな姿なんだろうな・・・・)
いつか絵本で見た、天使の姿を思い出す。
静かに降り続く雪の中で私はそっと胸をおさえた・・・・ー。