第1話 漆黒の王子

審判の国・アルビトロ 影の月…-。

裁きを司る審判の国の小さな森で、ユメクイの眠りについた一人の王子を目覚めさせた。

光に包まれた後は、苦しげにまぶたを震わせた漆黒の王子は…-。

??「まぶしい……!」

夕日のまばゆさに目をしばたたかせ、体をかすかに震わせた。

美しい黒髪がさらさらと揺れ、しなやかな体躯が凛と伸ばされる。

(真っ黒な羽……)

ばさりと広げられた漆黒の羽が、艶めいて羽ばたく。

圧倒的な存在感と、深い黒の不思議な魅力に思わず息を呑んだ。

??「……お前が、俺を……?」

〇〇「あ……はい」

長いまつ毛を持ち上げて、その人はゆっくりとこちらを見た。

どくん、と不思議な高揚感が私の身を襲い来る。

(不思議……つい見入ってしまう)

〇〇「大丈夫ですか?」

??「……大丈夫なものか」

〇〇「え……?」

すがめられた瞳が、私から外れゆっくりと彼の足元へ落下する。

広がった羽も、ゆっくりとその背に閉じていった。

??「目覚めなければ良かった……。 俺など、目覚めなくても良かったんだ。余計なことを……」

〇〇「あ…-」

吐き捨てるようにつぶやかれた後、歩きだそうとした彼の体がぐらりと揺れる。

慌てて支えようとすると、私から逃れるように彼は背を向けてしまった。

??「……俺に構うな」

〇〇「でも、よろけて……」

??「放っておいてくれ」

そう言うと、彼は誰をも寄せ付けないような雰囲気を発しながら歩き始める。

(顔色がすごく悪い……心配だな)

(放っておいてと言われたけど……)

気がつけば私は、漆黒の羽を追って足を踏み出してしまっていた…-。

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