第1話 軽快な彼

精霊の国・セクンダティ トニトルス 影の月…-。

雷の力を司るトニトルス族の地で、新たな王子が深い眠りから目を覚ました。

リッツ「んん~~、よく寝たー……あれ、キミは……」

エメラルド色の寝ぼけ眼が、私を認めた瞬間…-。

リッツ「かっわいいじゃん! ね、オレとキスしよ?」

〇〇「!?」

(えっと……今の聞き間違いかな?)

(キスって聞こえた気がするんだけど……)

あまりのことに呆然として、目覚めたばかりの王子を見る。

リッツ「……?」

(この人が、トニトルス族のリッツ王子……)

肩に届く少し緑がかった明るい金髪。

底抜けの明るさを感じさせる、よく動く丸い瞳……

リッツ「……どうしたの? ビックリさせちゃった!?」

〇〇「は、はい……」

リッツ「あははっ! これくらいで赤くなるなんて、いいじゃん、いいじゃん! その新鮮な反応、ますますカワイイ。 キミ、オレのこと目覚めさせてくれたんだろ?名前は?」

〇〇「〇〇です」

リッツ「へえ、サンキュー、オレはリッツ。ってことで、オレ、キミをトニトルスの城に招待するよ」

二カっと歯を見せて笑顔を見せたかと思えば……

〇〇「……!」

リッツさんは、私の手を掴んで、軽やかに抱き寄せた。

(ち、近い……!)

至近距離まで近づく彼の顔に、男の人の腕の中で感じる、自分より高い体温……

いきなりのことに、再び言葉を失ってしまう。

〇〇「あの……」

リッツ「……いいだろ? 助けてもらって、はい、さよなら……じゃ、ちょっとさみしいじゃん」

なかばリッツさんの軽快なテンポに乗せられるように、私は彼の城へと招待を受けることになったのだった…-。

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