記録の国・レコルド 奏の月…-。
スペルヴィアさんに招待された私は、従者さんに案内され、ファッションショーの会場を訪れていた。
ランウェイには色とりどりの照明が注がれ、その周りで大勢の人達が忙しそうに働いている。
??「ちょっと、メインの照明黄色すぎない? 服の色がくすむから…-」
ランウェイの上から、張りのある声が上がった。
(あの声は……)
〇〇「スペルヴィアさん」
スペルヴィア「あら、〇〇」
思わず声を漏らした私に、スペルヴィアさんがすぐに気づく。
スペルヴィア「迎えに行けなくてごめんね」
スペルヴィアさんはさらりと手を振り、ランウェイを降りて来た。
〇〇「いえ。従者さんが迎えに来てくれたので」
スペルヴィア「久しぶり。元気にしてた?」
〇〇「はい。スペルヴィアさんは?」
スペルヴィア「もちろん。それよりアンタ、相変わらず地味ね」
からかうように笑みを浮かべながら指摘され、思わず苦笑が漏れる。
〇〇「スペルヴィアさんの毒舌も、相変わらずですね」
スペルヴィア「言うわね。まあ、その辺に座って見ていきなさいよ」
〇〇「……いいんですか?」
スペルヴィア「いいも何も、招いたのはワタシだし。それに……。 アンタにワタシの仕事も見ておいてほしかったしね」
その笑顔は自信に満ちていて……
照明がかすめたその美しい面差しが、より輝いているように見えた…-。