ハルが万病に効く霊薬のために、ボルケウスを倒しに出て数日…―。
一向に戻らない彼を心配して、私が宿を出ようとした時――
??「シュガー!持ってきたぞ!!」
○○「え……その声は…―」
扉が開いたその先にいたのは――
ハルディーン「おい!オマエ、寝てないとダメだろう!?」
○○「ハル……っ」
ずっと帰りを待っていた人の姿が目に移り、涙があふれそうになる。
○○「だって私、ハルのことがずっと心配で……」
ハルディーン「シュガー……ごめんな、心配かけて……。 けどちゃんと約束の物は手に入れてきてやったから」
彼は背中にかけた布袋を私に見せる。
ハルディーン「それに、オレが○○を置いて、死ぬはずないだろ?」
○○「ハル……」
ハルディーン「ほら、だから無理せずベッドに横になってろよ」
○○「……っ!」
視界が急激に高くなって、胸がとくんと音を立てる。
彼は力強い腕に私を抱いて、そのままベッドへと運んでくれた。
ハルディーン「さ、少し苦いかもしれないけど、ちゃんと飲めよ?」
○○「うん……」
ハルが布袋から取り出した青い小瓶の蓋を開けて、私の口元へあてがう。
ハルディーン「早く元気になれよ」
薬を呑み込むと、不思議とこれまでのつらさがすっと楽になって、私はそのまま眠りについたのだった…―。
…
……
しばらくして目を覚ますと…―。
ハルが窓を開けて、外の風を部屋の中に取り込んでいた。
○○「風が……気持ちいい……」
ハルディーン「シュガー、起きたのか?身体の方はもう大丈夫なのか!?」
慌てて駆け寄ってきた彼に、笑顔で頷いてみせる。
○○「ハルの方こそ、大丈夫だったの?服も体もボロボロだよ」
ハルディーン「大きな怪我はしてない。オレって結構、強いんだぜ? それに、コイツもあったしな!」
得意げにハルは腰に下げた曲刀を手に取る。
(呪われた妖刀『ツインスレイヴ』……)
○○「そう!妖刀の呪いは大丈夫だったの!?」
ハルディーン「呪い……? あ、ああー……言われてみれば、途中落石にあったり、底なし沼にハマったりしたなあ。 けど、あんなの街の外に出たらよくあることだろ!?大丈夫だ!」
(よくあることって……)
そっと手を伸ばして彼の頬に触れる。
よく見れば、ハルの褐色の肌には無数の細かな傷がついていた。
(私のために……)
○○「……ごめんね」
ハルディーン「?なんでオマエが謝るんだ?」
不思議そうにハルが笑って、彼は優しく私の手に自分の手を重ねた。
○○「だって……私のためにこんなにボロボロになるまで……」
ハルディーン「バーカ!オマエは何も心配せずに、元気になることだけを考えろ。 それでまたオレに、可愛い笑顔を見せてくれよ?」
○○「か、可愛いって……でも、ありがとう……」
ハルは大きな手で私の頭を撫でてくれる。
(ハルの手に触れられると、心が温かくなる……)
ひどく心が落ち着いてきて、私は再び穏やかなまどろみへと誘われたのだった…―。