第4話 黄色いマスコット

武器の国のパビリオンを出て、花で彩られた通りを歩いていると…-。

巨大スクリーンから流れる大迫力の映像の大きな音に、私達は思わず足を止めた。

アヴィ「映画の国?」

〇〇「楽しそう! 出張テーマパークだって」

大型劇場のような建物の奥には、遊園地のようなアトラクションが見えた。

アヴィ「映画の国か……そういえば行ったことあったよな」

アヴィが感心したようにスクリーンに見入る。

その時…-。

??「やあやあ! 楽しんでいるかい!?」

〇〇「っ……!」

突然後ろから背中を叩かれて、私もアヴィも押し出されるように一、二歩前へとよろめく。

アヴィ「何する…-」

慌てて振り向くアヴィに、着ぐるみが大きな体をずいっと近づけた。

アヴィ「な、なんだ……?」

黄色い体についた大きな瞳に見つめられて、アヴィが戸惑ったように口元を引きつらせる。

そんなアヴィに構わず、着ぐるみはマイペースで私達にカメラを構えた。

マスコットキャラ「今日はめでたいワールドサロン! 太陽と月の祝福あるこの日に、記念すべき一枚を!」

アヴィ「あ、おい! 何やって……」

マスコットキャラ「いいからいいから、ほら、もっと近づいて~」

着ぐるみが私達の肩を掴むと、ぎゅっと距離を近づける。

アヴィ「!」

お互いの顔が触れそうな距離に近づき、思わず声が漏れそうになる。

(近い……)

アヴィの香りがふわりと鼻先をくすぐった。

〇〇「と……撮ってもらう?」

アヴィ「って言っても、お前……」

お互い、どうしていいかわからずにいる間に、マスコットキャラが、私とアヴィに向けてカメラを構え直した。

マスコットキャラ「ほらほら、3,2,1……」

〇〇「あ……アヴィ、笑って!」

アヴィ「……!」

マスコットキャラ「はい、ビートン!」

パシャリとシャッターが切られる音が響いた。

……

テーマパークを歩きながら、私は撮ってもらった写真を眺めていた。

〇〇「ふふっ……」

アヴィ「お前なあ! いい加減笑うのやめろよ」

〇〇「ごめん、だって、このアヴィの顔……」

写真をアヴィに見せると、私はこらえきれずにまた笑い出してしまった。

驚いたように口を開けたままのアヴィの姿が、いつもの精悍な表情とは違っていて……

〇〇「かわいいよ」

アヴィ「か……かわいい? お前なあ、変なこと言うなよ。 ……ったく」

不貞腐れたように、アヴィが顔を背ける。

わずかに覗く耳や首が、真っ赤に染まっていた。

(……アヴィとこんな写真が撮れるなんて)

嬉しさが胸の中に広がっていき、思わず写真の中のアヴィを見つめてしまう。

アヴィ「ニヤニヤしてんなよな」

たしなめるように、アヴィが大きな手を私の頭に乗せた。

〇〇「……っ!」

不意打ちのような温かさに、胸が音を立てる。

〇〇「……それより、どうしようか。この写真で、乗り物に一つ乗れるみたいなんだけど……」

アヴィ「俺にはよくわかんねえ。お前が決めろ」

〇〇「次はアヴィの番だよ」

アヴィ「あのなあ、そんなの俺に言われたって……」

アヴィが、困ったようにわずかに眉を下げる。

ふと、彼の向こうに大観覧車が見えて…-。

(あ……)

私は、ゆっくりと上っていく色とりどりの箱を無意識に見つめていた。

アヴィ「……あれにするか」

私の視線に気づいたのか、アヴィが大観覧車の方へ視線を向けた。

〇〇「いいの?」

アヴィ「お前の行きたいところでいいって言ってんだろ?」

優しく笑いかけるアヴィに、私の胸がまた大きく高鳴った…-。

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