第2話 星が教えてくれたこと

エントランスをくぐり、私達は賑やかなメインストリートを歩いていた。

(思わずアヴィの手を掴んだのはいいけど……)

繋がった手が、今さらになって少し気恥ずかしくて……

気にしないようにしても、手から伝わる温かさのせいで余計に意識してしまう。

〇〇「アヴィ、どこか行きたいところはある?」

アヴィ「……俺はいいから。お前が行きたいところはないのか?」

〇〇「私が行きたいところ……」

辺りを見渡すと、立ち並ぶパビリオンの中で、ひときわきらきらと輝く建物が目に留まった。

無数の星の飾りが施された建物は、まるで天の川のように煌めいていて……

〇〇「あそこに行ってみない?」

アヴィ「星の国か……そうだな。行ってみるか」

私に笑いかけると、今度はアヴィの方から手を引いてくれる。

そんな些細な違いが嬉しくて、私は口元に笑みを浮かべずにはいられなかった…-。

……

パビリオンに入った瞬間、見渡す限りの星空が目に飛び込んできた。

〇〇「綺麗……!」

アヴィ「これは……すげえな」

思わずため息がこぼれ落ち、私達は互いに笑い合う。

仕掛けはわからないけれど、暗くなった室内には、星が四方に瞬いていて……

〇〇「まるで、星の中を飛んでいるみたいだね……」

アヴィ「そうだな。きっとこんな気分なのかもな」

〇〇「さすがは、星の国だね」

アヴィ「ああ、綺麗だ……」

夜空を見上げて、アヴィが口元をほころばせる。

アヴィ「けど、アルストリアの星も綺麗だぞ」

〇〇「うん。綺麗だった。すごく空気が澄んでるから……」

瞳を閉じて、アヴィの国の星空を思い出す。

草原から見上げた星空は、まるで降って来そうなほど輝いていた。

アヴィ「お前……それ、田舎だからって意味じゃねえよな?」

思わぬことを言われて、私はアヴィへと視線を向ける。

星に照らされた彼の表情は、疑うようにわずかに眉が寄っていた。

(そういえば……アヴィ、自分の国が田舎だって言われるの嫌いだったよね)

〇〇「田舎でもいいと思うけどな」

つい漏れた私の言葉に、アヴィはまた喜びづらそうに目を細める。

アヴィ「……褒めてるんだよな?」

そんな彼に思わず頬が緩みそうになり、私は……

〇〇「褒めてるよ」

アヴィ「……そうか? まぁ今は、そう受け取っておくかな」

アヴィがふっと微笑む。

その笑顔に、私の胸がわずかに甘くうずいた。

(少し、顔が熱い……)

アヴィがゆっくりと星空へ視線を戻す。

その視線の先を、私も同じように眺めた。

アヴィ「フラフ、元気かな」

アヴィが懐かしむように瞳を細める。

アヴィ「星がすげえ綺麗に見える場所があるんだ。 小さい頃、母上とフラフの母犬……ララと、流星群を見に行ったりして。 この旅が終わったら……お前とフラフに、見せてやりたい」

〇〇「うん。私も……いつか見たいな」

まるで、今その場所に一緒に立っているかのように、私達は、自然にお互いの手をもう一度繋ぎ合わせた…-。

……

星空の部屋を出て、私達は星空の下の通路を歩く。

少し先に星の模様の幕に覆われた小部屋を見つけ、ふと足を止めた。

〇〇「占いだって」

アヴィ「占星術か……」

眺めていると、中から占い師さんらしき女性が、私達を手招きした。

占い師「これ、そこの青年」

アヴィ「俺?」

声をかけられ、思わず私とアヴィは顔を見合せる。

占い師「星達が教えてくれておるぞ……『自分を偽ることなかれ』、と」

アヴィ「は……?」

(自分を偽る……?)

あっけにとられたようにアヴィがまばたきを繰り返す。

占い師はにっこりと微笑み、そんな彼を意味ありげに見つめていた…-。 

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