第1話 彼の戸惑い

太陽と月の双光に照らされた会場に、人々の賑わう声が満ちている…-。

(これが『ワールドサロン』……)

太陽と月が同時に出る今は、夢の力が強まる時期……

各国が集まり、夢の力を集結するためにこの『ワールドサロン』を開催する運びとなった。

胸の高鳴りを感じながら、私は入口の向こうにそびえる各国のパビリオンを見上げた。

(楽しみだな)

アヴィ「……」

アヴィが、重そうな足取りでエントランスの前で立ち止まった。

〇〇「アヴィ? 行かないの?」

アヴィ「ああ、いや…-」

言い淀んで、アヴィが困ったように眉を寄せる。

(どうしたんだろう?)

不思議に思い、彼の言葉を待つと…-。

アヴィ「……俺達、ここでこんなことしていて……いいのかなと思って。 いや、悪いって言ってるわけじゃねえけど……」

言葉を選ぶように、アヴィは瞳を彷徨わせる。

自分の髪をくしゃりと掻き混ぜる仕草が、彼の複雑な胸の内を表しているような気がした。

アヴィ「まだまだ、ユメクイの被害は増え続ける一方で……。 俺達は、一刻も早くトロイメアを目指さないといけないんじゃないのかって……」

〇〇「アヴィ……」

(アヴィの言う通り、先を急ぐべきなのかもしれない。けど……)

(アヴィは旅の間、ずっと気を張って、私を守ろうとしてくれてた)

(今日ぐらい、楽しんでほしいって思うのは、わがままかな……?)

その思いにかられ、私はアヴィの手を取った。

彼の手が、驚いたようにわずかに強張る。

アヴィ「〇〇……?」

アヴィが、不思議そうに私へと視線を向けた。

けれどそれには応えず、私はアヴィの手を引く。

アヴィ「お、おい!」

(少しの間だけでも……)

〇〇「行こう? アヴィ!」

願いを込めて、私はアヴィへと笑いかけた。

楽しげな音楽が、私達を会場へと誘ってくれるような気がした…-。

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