記録の国・レコルド 凪の月…-。
大理石の敷き詰められた広大なロビーが目の前に広がる。
記録の国・レコルドで行われたプリンスアワードのアフターパーティが終わり、私は滞在先となる同国にある格式高いホテルに戻っていた。
ホテルマン「お帰りなさいませ。ごゆっくりとお過ごしください」
〇〇「はい、ありがとうございます」
(それにしても立派なホテル)
たくさんの王族や貴族らしき人達が、煌びやかな装飾が施されたロビーに集い、談笑している。
(一人でいると、なんだか心細いな……)
絢爛豪華な内装にすっかり恐縮してしまっていた時だった。
??「〇〇も招待を受けたのか」
〇〇「! その声は……」
ダグラス「久しぶり、相変わらずかわいらしい顔をしているね」
〇〇「ダグラスさん……!」
そこにいたのは、海賊の国・アンキュラの王子であるダグラスさんだった。
ダグラス「ははっ、不安そうな顔をしてたから、つい声をかけたんだけど。 その様子だと図星だったかな?」
〇〇「……っ!」
日に焼けた肌に笑みを浮かべた彼の指先が、私の頬に触れる。
その指から漂う香りに、以前訪れたアンキュラの海が思い起こされた。
〇〇「……お恥ずかしいんですが、その通りです」
ダグラス「そうか。なら、寂しさに震えるかわいい姫君を、この俺にどうかエスコートさせてくれないか?」
〇〇「エスコート?」
ダグラス「ああ。国に帰るまでには、まだ時間があるからな」
そう言って久々に出会ったダグラスさんは私の肩をそっと抱き寄せ、大人びた笑みを見せてくれたのだった…-。