第1話 鋭い眼差し

情憬の国・チルコ 虹の国…-。

のどかな草原に、まばゆい光が放たれる…-。

??「……? 俺はいったい……」

現れたのは、道化のような恰好をした一人の男の子だった。

○○「大丈夫ですか?」

??「……!?」

驚いたような顔をしながら、男の子は勢い良く起き上がる。

印象的な赤い瞳が、警戒するように私を見つめて……

??「なんで……大人がいるんだ」

(大人……?)

男の子の言葉が気になったものの、私は彼に目覚めさせた時のことを説明した。

??「トロイメアの姫……そうか、聞いたことがある」

その時、男の子がはっとしたような表情を浮かべた。

??「……サーカスは」

○○「えっ?」

??「サーカスに戻らないと……」

○○「あっ、待って!」

駆け出そうとした男の子へと、思わず手を伸ばす。

すると……

??「触るな!」

〇〇「……っ!」

鋭い声が響き、私は慌てて手を引っ込める。

??「……」

私を見定めるような眼差しには、暗い増悪のようなものが宿っている気がした。

〇〇「あ、あの……」

??「……」

血のように赤い色の目から、次第に鋭さが消えていく。

??「あんたは……悪い大人には見えないけど。 それでもあんたは大人だ」

○○「えっ……?」

彼の口から繰り返し出る、『大人』という言葉……

○○「……私が大人なら、何があるの?」

??「……大人なんかみんな腐ってる」

忌々しく吐き捨てるように言われたかと思えば、今度こそ、男の子は逃げるようにその場を立ち去ってしまった。

○○「……」

遠ざかっていく男の子の背中を、じっと見つめる。

すると……

○○「あれ?」

さっきまで彼が倒れていた場所に、小さな瓶が落ちていることに気がついた。

(きっとあの子のものだよね……?)

瓶の中には、不思議な色の液体が入っている。

私は少しの間、瓶を手にしながら考え込んだ後……

(大切なものかもしれないし……届けた方がいいよね)

男の子が走り去っていった方角へと歩みを進めたのだった…-。

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