洞窟を出ると、目の前に美しく神秘的な森が広がった。
爽やかな風が吹き抜け、揺れた葉の間から木漏れ日がきらきらと輝く…―。
ダグラス「○○、あれ……見てごらん」
ダグラスさんの視線を追うと、七色の羽を持つ大きな鳥が木の枝にとまっていた。
○○「珍しい鳥ですね。見たことないです」
驚いて声を上げれば、ダグラスさんも頷く。
ダグラス「俺も結構いろんな島で動物を見てきたけど、一度もお目にかかったことがないよ」
(本当に綺麗……)
しばらく彼と並んで高いところにいるその鳥を見上げていると、不意に、横から視線を感じた。
○○「どうかしましたか?」
見つめられ、気恥ずかしさを覚えながら尋ねると、ダグラスさんがくすりと笑う。
ダグラス「そんなに目を輝かせて……楽しそうだね」
○○「あ、すみません……」
(……はしゃぎすぎたかな)
ダグラス「いや、謝ることじゃないよ。かわいいなって思っただけだから。 そうやってすぐ感動できる君を見てると、俺まで楽しくなる」
ダグラスさんの口元に、優しい笑みが刻まれる。
ダグラス「君といると、小さなことでも特別に思えるんだ。 どこにでも連れてってやりたいし、いろんな景色を見せてやりたい。なんでもしてあげたくなる」
○○「ダグラスさん……」
ボニータ「キキッ!キーッ」
見つめ合う私達を急かすように、少し遠くからボニータの鳴き声が聞こえる。
ダグラス「ははっ、わかったよボニータ。今行くから」
そうして木々の間を抜けると……
(!金色の、馬……?)
淡く光る泉のほとりで、金色のたてがみの馬が水浴びをしていた。
私達の足音が聞こえたのか、馬は静かにこちらへ視線を向ける。
(すごい……)
金色の光をまとうその馬の神々しさに、言葉も忘れて見入っていると……
ダグラス「あれは……」
隣を見ると、ダグラスさんが大きく目を見開いて馬を見つめている。
○○「ダグラスさん、どうしたんですか?」
ダグラス「いや……さっき話した、神々の話、覚えてるかい?」
○○「どんな神様が住んでるんでしょう?」
ダグラス「言い伝えだし、諸説あるけど……。 たとえば珊瑚を守る女神、海の始祖と言われる神、海と大地を守る神……」
洞窟の中で聞いた話を思い出し、私は頷く。
○○「はい」
ダグラス「それぞれの神に伝承があるんだけど……。 海と大地を守る神がいつも傍に置いていたのが、金のたてがみの馬と白いイルカだって言われてるんだ」
(それって……)
私は無言で、馬に視線を戻した。
こちらを見つめる澄んだ瞳に引き込まれ、思わず息を呑む。
不思議なこの出会いに、私の胸は自然と高鳴るのだった…―。