寄せては返す波の穏やかな音が、耳に優しく響く…―。
私はダグラスさんと並んで、シエルマーリンの浜辺を歩いていた。
さらさらとした砂の上を歩くのは心地よいけれど、一歩進む度に足が砂に埋もれてしまう。
ダグラス「大丈夫かい?歩きにくい?」
ダグラスさんが立ち止まり、私の手を取った。
○○「ありがとうございます」
ダグラス「ここの砂は沈みやすいな。浜辺を歩くなら、裸足になった方が楽かもしれない」
辺りを見回したダグラスさんが、少し先にある流木を指さした。
ダグラス「ちょうどいいのがある。あそこで靴を脱ごう。少し海でも眺めようか」
そうして浜辺に横たわる流木に腰かけてサンダルを脱いでいると、
ダグラスさんのペットであるサルのボニータが、波打ち際へと駆けていく。
ダグラス「ははっ、ボニータも随分はしゃいでるね」
波と戯れるボニータを眺めながら、ダグラスさんが笑った。
(ボニータも、っていうことは……)
○○「もしかして、ダグラスさんもはしゃいでるんですか?」
思わず尋ねると、ダグラスさんが苦笑する。
ダグラス「もう気づかれたか……さすがだね」
そう言って、ダグラスさんがそっと私の手を取った。
ダグラス「この美しい海で、君とゆっくりしたい気持ちもあるんだけど……。 ここは、海賊達の間で伝説みたいに言われてる特別な島でね。実は、探索したくて仕方ないんだ。 もしよければ、俺の冒険に付き合ってくれるかい?」
楽しげな様子でそう言うダグラスさんに、私は……
○○「はい、もちろん!」
私の言葉にダグラスさんが微笑む。
ダグラス「ありがとう。君と一緒なら、いつも以上に楽しくなりそうだ」
いたずらな笑みを浮かべ、ダグラスさんが立ち上がる。
ダグラス「よし、行こう!楽しい冒険の始まりだ」
差し伸べられた手を取ると、優しく引っ張り上げられる。
大きくて男らしい手に鼓動が跳ねた次の瞬間、私はバランスを崩して彼の広い胸に抱きとめられていた。
ダグラス「おっと、ごめん。強く引っ張りすぎたかな」
○○「いえ、私が…―」
恥ずかしさに慌てて離れる私を、ダグラスさんが楽しげに見つめる。
ダグラス「伝説の島に来たこともそうだけど、俺は君と一緒にこの島を回れるのが本当に嬉しいよ」
○○「ダグラスさん……」
胸が甘く震えて、頬がまた熱くなっていく。
波の音が穏やかに響く中、私の鼓動は高鳴っていくばかりだった…―。