第3話 ルークの優しさ

メディさんとの芸術修業が終わって間もなく…―。

ナビットくんが次に目をつけたのは……

ナビット「ねえねえ、ルーク王子も、僕に王子様になる方法を教えて!」

ルーク「えっ!? 私ですか……そうですね……王子になる……」

ナビット「そう! 王子様になるにはどうしたらいいの!?」

ルーク「……」

○○「どうしたんですか? ルークさん」

ルーク「いえ、それが……私は生まれた時には、気づいたら王子でした」

○○「……はい」

ルーク「つまり、王子になる……努力をしたことがないのです!」

ナビット「そ、そんなっ! じゃあ僕は王子様にはなれないの……?」

ルークさんの言葉にナビットくんは目に涙を浮かべ始める。

メディ「ちょっと、ルーク! キミがそんなことでどうするんだい!」

アヴィ「そうだぞ。王子として何か……考え方とかあるだろ」

ナビット「考え方!? とっても気になるよ!! 教えて!?」

ルーク「……なるほど」

期待に満ちた瞳のナビットくんに、ルークさんが困ったような笑みを浮かべる。

ルーク「しかし私は……王子としての自信がなく、国を出てしまいました。 自分の存在とはなんなのか……自分というものを探すために、旅へ」

ナビット「ええっ!」

ルーク「なので、私にはあなたに王子としての心持ちを語る資格などないのです」

ナビット「うーん、王子様としての心持ち……?」

不思議そうに首を傾げるナビットくんに、私は……

○○「自信……かな?」

ナビット「自信……? じゃあルーク王子は、自信がないけど、王子様になれたの?」

ルーク「そう言われると、どう返していいものか……」

ルークさんも私も言葉に詰まってしまうと、アヴィが口を挟んだ。

アヴィ「……それくらいにしといてやれ」

ナビット「どうして?」

アヴィ「ルークが悩んで旅に出たのは、こいつが自分の国に対して責任を感じてるからだろ。 本当にいい加減な奴が、悩んだりなんかしねえよ」

ルーク「……」

ナビット「責任……○○お姉ちゃん、責任って?」

○○「えっと……。 国を守ることかな」

ナビット「う~~ん、難しいね……。 でもポケットランドのみんなが笑顔でいられるためなら、僕、頑張れるよ!」

○○「それでいいと思うよ」

ナビット「うん! 僕よーくわかった♪」

ルーク「……少しは私もあなたの修行に役立てたんでしょうか?」

ナビット「うんっ!! あと、ルーク王子はとっても素敵!」

ルーク「え……?」

ナビット「なんていうか、初めて会ったのに、ルーク王子相手には全然緊張しなくて。 すごく自然っていうか……そうだ! 空気みたいっ!」

ルーク「く、空気……!」

メディ「ナビットくんはなかなか辛辣だね、しかし芸術は時に人の心を容赦なく抉るもの……」

ショックで固まるルークさんをよそに、ナビットくんは何度も頷く。

ナビット「う~ん……僕、知らなかった! 王子様って、すごく遠い人って感じだったけど……。 ルーク王子みたいな王子様もいるんだね!」

ルーク「私、みたいな……!」

度重なる言葉に、ルークさんの顔がさらに引きつる。

アヴィ「……ナビット、もうその辺にしてやれ」

ナビット「?? うん、アヴィ王子!」

ナビットくんは、無邪気な笑みを満面に浮かべる。

ルーク「……」

(ど、どうしよう)

○○「ル、ルークさん……」

ルーク「いいんです、私は…―」

力なく笑うルークさんに、かける言葉が見つけられずにいると…―。

ナビット「ありがとう! 僕、ルーク王子みたいな王子様になりたい!」

ルーク「え……?」

ナビット「だってすごいよ! 僕、初めてポケットランドに来る人達にだって、心から楽しんで欲しいから! みんなが安心して僕といてくれるような……優しい王子様になりたいって思ったよ!」

ルーク「……そうですか」

嬉しそうに笑うルークさんに、アヴィとメディさんは、顔を見合わせてほっと息を吐く。

私もルークさんのその笑顔に、彼のひとかけらの自信を感じていたのだった…―。

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