月5話 「すまない……!」

刃が夕陽を受けて赤く光る…-。

とっさに、私はゼロさんの前に飛び出してしまった。

ゼロ「〇〇……っ!」

〇〇「……っ!」

右肩をナイフの刃がかすり、ちりっとした痛みが走る。

ゼロ「〇〇……!」

衝撃に倒れ込みそうになると、ゼロさんが私の腰を掴んで抱きとめてくれた。

ゼロ「お前達、自分が何をしたかわかっているのか!?」

私を抱いたまま、ゼロさんが恐ろしい声で怒鳴る。

ゼロ「この方は、トロイメア王家の〇〇姫だ! こんな小国の覇権争いに巻き込んで、ただで済むと思っているのか!?」

男達「〇〇姫……?」

男1「ひとまず、逃げるぞ」

男達は、現れた時と同じように音もなく去っていった。

ゼロ「大丈夫か!? 怪我は……!?」

私を抱くゼロさんの声が、震えている。

〇〇「ちょっと切っただけです、大丈夫ですよ。 それより、今の人達は……?」

ゼロ「ああ……うちの国は王子がたくさんいてね。 側近たちが、跡目争いをしているんだ。 巻き込んで、すまない……」

いつも淡々と言葉を紡ぐゼロさんの声が震えていて、私を心から心配していることが伝わってくる。

こんな状況なのになぜだかそれが嬉しく、思わず笑みをこぼしてしまった。

ゼロ「なぜ、笑うんだ……?」

〇〇「ごめんなさい……でも」

ゼロさんが、困ったように眉尻を下げる。

背中を支えてくれる彼の腕に、そっと手を添えた…-。

<<太陽SS||月最終話>>



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