ようやく宿泊先の部屋に戻ると、奥には既に布団が敷いてあった。
〇〇「夕食は……お部屋でいただきますか?」
フロストさんを振り返ると、血の気の引いた青い顔に、息が止まりそうになる。
〇〇「フロストさん、やっぱり具合が…-」
フロスト「……問題ない」
口ではそう言うけれど、明らかに立っているのもやっとという様子だった。
〇〇「お願いします。無理しないでください」
たまらず、フロストさんの服の袖を強く握りしめる。
フロスト「〇〇……」
すると、フロストさんのまとう空気がふっと緩んで…-。
フロスト「そう……だな。少し調子が良くないようだ」
〇〇「! フロストさん…―」
フロスト「……すまない」
〇〇「大丈夫です。すぐにお医者様を呼んで来ますね」
布団に横たわったフロストさんの手を一度だけ握って、私は慌ただしく部屋を後にした…-。