月5話 夜の追跡

石畳の道の上を、滑るように箒が進む。

私達は城に向かったカボチャの馬車を追いかけていた。

〇〇「ドロワットさん、あそこです!」

ドロワット「よし、どうにか城に着く前に追いつけたな」

ドロワットさんは箒の速度を上げて馬車に並び、御者に向かって声を張り上げる。

ドロワット「その頭をカボチャに変えられたくなきゃ、今すぐ馬車を止めろ!」

ドロワットさんの言葉に、御者はぎょっとした表情で馬車を停車させる。

箒から降りたドロワットさんが馬車の扉を開けると、中には呆然とした様子の女性達の姿があった。

ドロワット「帰りたい奴は帰っていいぞ」

凛とした声が、馬車の中に響く。

けれど女性達は迷うように顔を見合わせて、動こうとしない。

女性1「あ、あなたはいったい……?」

ドロワットさんの肩越しに、震えている女性達が見える。

女性2「帰っていいと言われても……王子の命令に逆らったらどうなるか」

ドロワット「なんだよ、面倒くせえな……」

ドロワットさんは大きなため息を吐き、自らが魔法使いであることを示すように、手にしていた箒を高く掲げた。

ドロワット「もし後から王子に何か言われたら、悪い魔法使いに脅されて仕方なく帰ったとでも言えばいい。 まあ、今から俺が王子をやっつけてくるから、いらねぇ心配だけどな。 さしずめ俺は、王子から妃候補を奪う悪い魔法使いってところか?」

ドロワットさんは私を振り返り、不敵に微笑む。

その瞳は月明かりに照らされて、妖しく輝いていた…-。

<<太陽SS||月最終話>>


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