月8話 晴れていく心

少し湿り気のある風が、窓から吹き込んでくる…―。

(今日もシャオさんとはお話できていない……)

奉納の儀が終わって以降、またシャオさんは公務が忙しくなった。

(ますます、シャオさんを遠くに感じてしまう……)

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シャオ「……なーんて、あなたがあまりに楽しそうに話すから、ついからかっちゃいました」

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人懐っこい笑顔を思い出すと、胸が小さく痛んだ。

こうして青息吐息を続けてばかりいると、部屋の扉がノックされた。

侍女「○○様、最近気分が優れないようですが、外にでも出られてはどうでしょう? 本日でしたら、中庭でお茶会などの予定もありますので」

侍女の方が気遣わしげに、私に声をかけてくれた。

○○「……ありがとうございます、顔を出してみますね」

侍女「はい、でしたら後で人を向かわせますね」

侍女の方が部屋を出て行くのを見終えて、私は椅子から立ち上がった。

(このままじゃいけない、元気出さないと……)

……

その日の昼下がり…―。

私は従者の方に連れられて中庭へとやってきた。

従者「○○様は、お茶はどのようなものがお好みですか? 菓子などもいろいろと取り揃えております」

○○「ありがとうございます」

お茶会は城の重役が主催ということで、公務がなければシャオさんも参加予定だったらしい。

主催者の男「こんにちは、○○様、お話はシャオ様よりうかがっております。 何か城での滞在中に不便なことはございませんか?」

侍女「どうぞ、○○様、こちらレモンパイが焼き立てでございますよ」

○○「……皆さん、お気遣いありがとうございます」

侍女「いいえ、気にしないでください、それよりも早くあの笑顔を取り戻してくださいな。 でないとシャオ様が悲しみますわ」

主催者の男「ええ、その通りです」

○○「はい」

(この国の人達って、皆優しいな)

(シャオさんみたいな、柔らかさがあって……)

この国の人達が優しいのは、きっとシャオさんのような人が一族の長にいるから……そう思うと、心にかかった雲はやがて消えて、澄んだ青空が広がっていくようだった…―。

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