月7話 役に立ちたくて

夜空に三日月が輝く夜…ー。

クリスマスパーティの準備を始めたハルは、スノーボードやスキーの道具を取り寄せ、雪原の整備を進めた。

○○「ハル、少し休んだら?」

私は紅茶の入ったカップをテーブルに置く。

ハルディーン「悪い。シュガーは先に休んでてくれ。オレ、もう少しやっちゃいたいから」

小さなソリを手際よく手作りしている彼の横顔を見つめた。

(短期間でこんなに……ハルはすごいな)

たくさんの人が楽しめるように、スキー板やスノーボードだけでなく、小さな子ども達にソリを何台か用意したいらしい。

(でも……毎日、朝から晩まで準備をして、体が心配だな)

ハルは真剣な顔で、木で作ったソリの部品を組み立てている。

(手伝わなくていいって言われたけど……)

(私も何か、少しでも役に立ちたい)

見よう見まねで、部品の組み立てを始めようとすると……

ハルディーン「おい!危ないだろ。オマエは無理にやらなくていいんだぞ?」

作業の手を止めた彼が、心配そうな顔でこちらを見る。

○○「ううん、大丈夫。ハルの役に立ちたいし」

私の言葉に、ハルはふっと柔らかな笑みを浮かべた。

ハルディーン「……オマエ、あんまりかわいいこと言うなよ」

○○「え?」

ハルディーン「……いやなんでもない。それより、手、気をつけろよ?」

○○「うん、ありがとう」

ハルに教えてもらいながら、いくつかの部品を組み立てていく。

(次にここにはめる部品は……あ、あれかな?)

部屋を見回し、新しい部品を取りに行こうとした時……

○○「あっ……!」

床に散らばっていた木屑で足を滑らせて転びそうになり、手にしていた部品を落としてしまった。

ハルディーン「シュガー!大丈夫か!?」

慌ててハルが立ち上がり、私の手を取る。

ハルディーン「この辺り危ないな。先に木屑片づけておけばよかった……ごめんな」

○○「ううん。私が不注意だったの。先にここ片づけちゃうね」

けれど、床に視線を向けた時、落としたソリの部品が割れていることに気づく。

○○「あ……っ!」

ハルディーン「あ」

○○「どうしよう……」

(せっかくハルが作ったのに……)

割れてしまったのは、木で作ったソリの取っ手部分だった。

(手伝うどころか、私、邪魔しちゃってる……)

ハルは黙ったまま、割れた部品をじっと見つめている。

○○「本当にごめんなさい」

申し訳なさで胸が苦しくなっていると、ハルが顔を上げた。

ハルディーン「……謝らなくていいって」

○○「えっ?」

ハルディーン「これさ。こんな強度じゃ子ども達が怪我してたかもしれねえし」

(ハル…ー)

ハルディーン「よし、もっと強い木で作り直そう!悪いけど手伝ってくれ」

(ハル……)

疲れなど見せないまま、作業を再開する彼を見つめる。

すると…ー。

ハルディーン「なんか……幸せだ」

○○「え?」

手を止めないまま、ハルが嬉しそうに声を紡ぐ。

ハルディーン「オマエとこうやって、クリスマスの準備ができるって」

○○「ハル……」

彼が木槌を叩く優しい音が、胸をなんだか切なくさせる。

二人きりのこの時間がずっと続けばいいのにと、そう思わずにはいられなかった…ー。

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