月7話 頼られたい

ケーブルカーが故障してしまい、私達は山頂に向かって歩き始めた。

(仙道って、歩きにくいな……)

展望台まで、あともう少しだけれど、山頂に向かうにつれて、その道はどんどん険しくなっていく。

エドモント「◯◯、辛くない?」

エドモントさんは、心配そうに私の顔を覗き込む。

(足手まといにはなりたくない)

◯◯「私なら大丈夫で…ー」

言い終わる前に、エドモントさんは私に背を向けてしゃがみ込む。

(えっ……)

エドモント「俺の背中に乗って」

◯◯「そんな、申し訳ないです! 私なら、大丈夫ですから!」

エドモント「俺は君に甘えてもらいたいんだ」

◯◯「エドモントさん……」

エドモント「いいから。ね、甘えて」

エドモントさんに真っ直ぐ見つめられ、私は思わず頷いた。

◯◯「……ありがとうございます」

エドモントさんの背中に、そっと身を委ねる。

エドモント「さあ、出発だ」

山道はどんどん険しくなるのに、工ドモントさんはそれを難なく登って行く。

その時、空から白い粉が舞ってくる。

その一粒が、私の頬にそっと落ちた。

(冷たい……雪?)

頬の冷たさに寒さを思い出して、私は自分の身体をさすった。

エドモント「◯◯、大丈夫?」

◯◯「はい……」

寒さで声が震えてしまい、思わず口をつぐむ。

エドモント「まただ……俺の前では無理をしないで」

エドモントさんは私を背中から下ろし、持っているストールで私を包み込んでくれた。

エドモント「少しは寒さをしのげるかな」

◯◯「でも……これでは、エドモントさんの体が冷えてしまいます」

包んでくれていたストールを返そうとすると、エドモントさんはそれを制した。

エドモント「いいから。そのままでいて」

次の瞬間…ー。

ふわりと体が宙に浮かぶ。

エドモントさんが、私の体を抱き上げてくれていた。

◯◯「エドモントさん……っ!」

エドモント「このまま君に無理をさせたくない」

悲しげに眉尻を下げる彼を見て、私は必死に首を横に振った。

◯◯「無理だなんて……! 私はエドモントさんとご来光を見たくて……」

エドモント「いいんだ。健康を願いにきたのに、風邪でも引いたら笑えないよ」

私を安心させるように、エドモントさんがくすりと笑いをこぼす。

エドモント「寒くなってきてしまったから、すぐに暖を取れる場所を探すよ」

優しい眼差しで見つめられると、申し訳ないと思いながらも身を委ねてしまう。

◯◯「……ありがとうございます」

少し歩いていくと、小さな山小屋が建っていた。

エドモント「よかった。とりあえず、あの場所に向かおう」

空は既に明るくなってきていた。

展望台でご来光を見ることができず、私はエドモントさんに申し訳ない気持ちでいっぱいになった…ー。

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