月5話 歌うたいの望み

煌めく光の街に、音もなく粉雪が舞い始める…-。

ダルファー「ねえ、〇〇ちゃん…-。 思ってること、言ってみて?」

〇〇「でも……」

嫉妬をしたと彼に告げたら困らせてしまうかもしれない、そう思うと言葉が続かない。

〇〇「……言えない、です。ダルファーを困らせてしまうので」

ダルファー「いいよ? 困ってみたいから」

予想外の言葉に、思わず私は目を瞬かせた。

〇〇「困りたいんですか?」

ダルファー「おかしいかな? おかしいか……なんでだろうね」

にっこりと微笑むダルファーの真意が掴めずに、首を傾げる。

〇〇「なんででしょう……」

するとダルファーはくすりと笑って……

ダルファー「素直になってくれていいのに」

見透かしたような瞳で、私の顔を覗き込んだ。

ダルファー「キミが言わないのなら……僕の気持ちを教えてあげる。 早く二人きりになりたい。キミを独り占めにしたい」

(え……)

綺麗な微笑で思いがけない言葉を紡ぎ、ダルファーが私の耳もとに唇を寄せた。

ダルファー「さっき、他の男に話しかけられたよね? 実はあれ、すごく嫌だったんだ。 どうしてキミにだけこんなことを思うのかな。理由……わかる?」

艶やかな笑みを浮かべる彼は、すでに答えを知っているような気がする。

(困ってみたいとか、嫉妬したような言い方って……)

都合のいい期待が芽吹いて、私の頬を熱くしていく。

ダルファー「……おいで、〇〇ちゃん」

軽やかで優しい誘いの言葉に、抗うことはできなくて……

私の手を取り、ダルファーは行き先も告げずに歩き始めた…-。

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