月9話 ルシアンの決心

禁止区域の瘴気を抑えることには成功したものの、そこから出てくる姿を見られて、ルシアンさんはさらに国の人達に避けられるようになってしまった…-。

(ルシアンさんは、皆を助けるために頑張ったのに……)

ルシアン「〇〇……そんな顔をするな」

〇〇「でも、あの女の子は禁止区域から出てきたルシアンさんを見てきっと誤解をしたんじゃないかって……。 これ以上、ルシアンさんが差別されるようなことになってしまったら……」

ルシアン「……今更、仕方がないことだ。そのことに関しては、どうしようもない」

〇〇「でも、ルシアンさんは……」

なおも言い募ろうとする私の言葉を遮るようにルシアンさんが言葉を続ける。

ルシアン「俺は……あの沼から瘴気が消えればそれでいい。 ……俺のような思いをする者が二度と現れないように」

(そんなの……何だか悲しい)

悔しさと悲しみ、自分の無力さにうなだれていると、ルシアンさんがそっと近づいてきた。

ルシアン「……」

(ルシアンさん?)

私のすぐ傍に立った彼に、顔を上げれば……

ルシアン「俺は、国を出ることに決めた」

〇〇「え……」

突然の言葉に、言葉を失う。

ルシアン「この国に、黒い羽の者はいらない。 ならば……俺はいなくなるべきだ」

(いきなり、どうしたの……? そんな…-)

混乱する私を目に、ルシアンさんは瞳を静かに閉じた。

ルシアン「実は……ずっと考えていたんだ。 今回のことで、決心がついた」

痛みを噛み締めるように言われて、私はその場に立ち尽くすしかできなかった…-。

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