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オリオン「帰れ……俺の気が変わる前に」
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翌日…―。
オリオン「……元気で」
使者さんに送られて地上に帰ることになった私は、オリオンさんとの別れの時を迎えていた。
〇〇「オリオンさんも……」
結局、胸の中の感情に名前をつけることができず、私はあいまいな笑顔を浮かべる。
オリオン「言っただろ……そんな風に笑うなと」
そう言って笑みを浮かべたオリオンさんの瞳はすごく悲しそうで、私の胸がまた、ひどく痛む。
オリオン「……悪かったな、振り回して。 ……これ」
そう言ってオリオンさんが差し出したのは、あの貝のネックレスで……
押し寄せてくる感情に、私は思わず息を呑んだ。
オリオン「もう、行け……」
そうして静かに頭を下げると、私は送りの使者の方に抱かれてシャボン玉の外へと出た。
上へ、上へ……
だんだんと海底国が遠ざかっていく。
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オリオン「好きな相手に好きと言って、何が悪い。 結婚したい女に迫ることの、どこが悪い。 心から好きだと思える相手に出逢えるのは、奇跡だろう。 俺は、後悔などしたくない」
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胸が、どうしようもなく締めつけられる。
地上に近づくほどに、空の夕焼けが海中を染めていき、
私は夕陽色の貝殻のネックレスをぎゅっと握りしめた。
〇〇「……止まってください!」
気がついた時には、そう口にしていた…―。