ダグラスさんに手を引かれ、水の中をもぐっていく…―。
ダグラス「へえ……やっぱり海だな。よく知ってる仲間達がたくさんいる」
悠然と泳ぐ海ガメや、すぐ傍をひらひらと通り過ぎる色鮮やかな魚達……
心躍るその光景を二人で眺めていると、真っ白なイルカが現れた。
○○「かわいい……!」
思わずそう口にした次の瞬間、イルカがまとう淡い光に既視感を覚えて首を傾げる。
ダグラス「海と大地を守る神がいつも傍に置いていたのが、金のたてがみの馬と白いイルカだって言われてるんだ」
(もしかして、このイルカって……)
驚いてダグラスさんに視線を移すと、彼も同じことを思っていたようで……
ダグラス「馬の次はイルカか……どうしてかな。今日は本当に不思議なことばかり起こる」
近寄ってきたイルカが、ダグラスさんの頬を口の先で撫でた。
ダグラス「ははっ、人懐っこいイルカだ」
○○「本当ですね」
そっと撫でてみると、イルカは気持ちよさそうに鳴き声を上げる。
その時だった。
ダグラス「!○○、手を…―」
○○「えっ?」
彼の手がこちらへ伸ばされたと思った、次の瞬間…―。
(……っ!)
大きなクジラが近くを通り過ぎ、激しい水流に飲み込まれる。
ダグラス「○○!」
水圧で体が思うように動かず、私達はあっという間に引き離されてしまう。
(嘘……)
気づけばダグラスさんの姿はなく…―。
(どうしよう、探しに行った方が……?)
その時、突然の出来事に混乱する私の元へ、金色のたてがみを持つ馬が現れた。
何か言いたげに私を見つめると、馬は私の前にゆっくりと歩み寄り座り込む。
(乗れっていうこと、かな?)
ダグラスさんから聞いた伝説の話と私を見る馬の優しい瞳は、なぜか安心感を与えてくれる。
私が背中に跨ると、馬は海底をは走り出した…―。
…
……
淡い光をまとう馬に連れられてやって来たのは、珊瑚礁が美しい海底だった。
(ここは……)
海面から届く幾重もの光の筋が、色とりどりの魚達や珊瑚を照らし出している。
思わず、その光景に見とれていると……
(え!?)
視界の端に、遠ざかっていく馬の姿が映る。
置いていかれて途方に暮れたのも束の間、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた気がして…―。
ダグラス「○○!」
声のする方を見ると、白いイルカに先導されるように泳ぐダグラスさんとボニータの姿があった。
○○「ダグラスさん!」
ダグラス「ごめん!大丈夫だった?」
○○「はい。大丈夫…―」
言葉の途中で引き寄せられ、力強い腕が私を抱きしめる。
(どうしてこんなに安心するんだろう……)
広い胸に頭を預け、私はそっと目を閉じた…―。