月6話 優しい手のひら

闘技会の前夜祭が終わり、私達は部屋へと向かっていた。

ゆっくりと歩きながら、ユリウスさんがぽつりとつぶやく。

ユリウス「明日、オレのこと応援してくれるか?」

思わぬ言葉に、私は首を傾げる。

○○「もちろんです。どうしたんですか?」

彼は微かに唇を引いて見せたけれど…―。

ユリウス「悪い、思った以上に緊張してるみたいだ」

(ユリウスさん……)

彼の緊張をほぐしたくて、私はいたずらっぽく微笑んでみせる。

○○「ユリウスさんでも緊張するんですね」

ユリウス「こういう時もあんだよ」

ユリウスさんは少し照れくさそうに首を掻いた。

ユリウス「これから、イリアと戦略について話してくる」

○○「今からですか?もう遅いですけど……」

ユリウス「ああ。ちゃんと休まないとってのはわかってるよ」

(おせっかいだったかな……)

申し訳なくて口をつぐむと、

ユリウスさんが私の頭にぽんと手のひらを置いた。

ユリウス「……心配してくれてありがとな」

彼の手が、優しく私の頭を撫でて…―。

(大きくて温かい……)

ユリウス「……おやすみ」

囁くように言うと、ユリウスさんはおもむろに歩き出す。

○○「おやすみなさい」

(……明日、勝ってほしいな)

どこか強張った様子のユリウスさんの背中を見送る。

彼の緊張が伝わったのか、私はいつの間にか手を握りしめていた…―。

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