茜色の空に、夜の気配がにじみ始めた頃…-。
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〇〇『シュティマさんのことが、好き……だから。 だから、力になりたいって……そう思ったんです』
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私は、シュティマさんと見つめ合ったまま動けずにいた。
けれど、すぐに彼がはっとして姿勢を正す。
シュティマ「えっと、その……。 ありがとう。気持ちは素直に嬉しいよ」
穏やかな声で答えてくれたものの、その瞳は戸惑うように揺れている。
シュティマ「……」
二人の間に、沈黙が訪れてしまう。
その空気を変えたくて、私は口を開いた。
〇〇「すみません、本番前の大切な時に余計なことを言ってしまって……」
気まずさからシュティマさんの瞳を見ることができずにいると……
彼が、否定するように首を横に振った。
シュティマ「いや、そうじゃないんだ。けど……」
そう言ったきり、再び口を閉ざしてしまう。
〇〇「シュティマさん……?」
思わず問いかけると、彼がこちらに顔を向けた。
シュティマ「ああ……すまない。 とりあえず、まずは城に戻ろうか」
シュティマさんが、私の促すように歩き始める。
夕焼け色に染まる街並みを、二人で進んでいった。
(シュティマさん……今、何を考えているんだろう)
冷たさを帯びてきた風に吹かれながら、私は後悔と不安を募らせていた…-。