月5話 海の上の高台で

人影のない穴場の入江を見つけた私達は、アイスを買うため、一度その場を離れた。

ビーチに向かって砂浜を歩いていく途中で、見晴らしのいい高台が見えてきた。

陽影「お、ちょっと登ってみないか」

〇〇「はい」

海に突き出た形の高台から、浜辺のほうを振り返ると、パラソルが乱立するビーチが見渡せた。

〇〇「たくさん人がいますね」

陽影「アイス屋も混んでるかな?」

からかうようにニヤニヤと笑って、陽影さんが私の顔を覗き込む。

〇〇「べ、別にアイスは……」

陽影「ハハハッ!」

笑いながらその場にしゃがみ込むと、陽影さんは身を乗り出して、海の中を覗き込んだ。

陽影「なあ見てみろよ。水が澄んでてすごい綺麗だぞ。 飛び込んだら気持ちいいだろうな」

そんな陽影さんの背中を見つめていたら、私の中にちょっとした悪戯心が湧いてきた。

(背中、押してみようかな……)

もちろん落ちないように、指先だけでトンと背中に触れてみると…―。

陽影「わああ……!?」

陽影さんが大声を上げて、盛大に尻餅をついて私を見上げた。

〇〇「ご、ごめんなさい……!まさかこんなに驚かせちゃうとは思わなくて……」

陽影「オマエなー!なにして……る……クククッ……」

途中から声が震え、最終的にはおなかを抱えて笑い始める。

陽影「いまの俺の間抜けな声……ひどいわ……ククッ……」

涙目で笑う陽影さんが、起こしてくれというように、私に手を伸ばしてきた…―。

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