月8話 知性の輝き

未完成のまま起動させた大案山子一号は、暴走してしまった…-。

できる限りの手を尽くした後、リーヤさんは操縦席でうなだれてしまう。

リーヤ「やっぱりまだ駄目だったんだ……。 くそ……俺は、俺は……馬鹿だ。いくら知性をもらっても、馬鹿は馬鹿のまんまだ!!」

〇〇「しっかりしてください! リーヤさん」

再度、操縦桿に叩きつけかけた拳を必死で止める。

リーヤさんは、ひどく傷ついたような眼差しで私を見た。

リーヤ「だって、このままじゃカラスどころか街自体が崩壊だ……」

〇〇「諦めないでください……!」

リーヤ「……んなこと言ったって……」

〇〇「リーヤさんは、すごい努力家で、昔から知性を探して旅をしていたんですよね? 馬鹿にされないよう一生懸命に努力をして……。 今では、一国の主として、務めを果たしているんですよね?」

リーヤ「そんなのは……」

リーヤさんが、苦悶の表情を浮かべる。

リーヤ「どうせオズワルドからもらった知性だ。俺の努力なんかじゃねー……」

〇〇「そうだとしても、それを手に入れる力がリーヤさんにはあったんです。 リーヤさんは選ばれた人だし、リーヤさんのように頑張れる人でなきゃ駄目だったんだと思います」

リーヤさんの心に届くように、私は夢中で言い募った。

すると…-。

リーヤ「……駄目だ……」

リーヤさんの顔つきが少しずつ変わり始めた。

〇〇「え……?」

リーヤ「このままじゃ駄目だ……。 こいつの半分は、俺の魔力で動いてる。だから…-」

きらりとその瞳に輝いたのは、確かに……リーヤさんの持つ、特別な知性の輝きだった。

高揚感に、とくんと大きく鼓動が跳ねる。

リーヤ「来い! 〇〇!」

〇〇「え……?」

突然、リーヤさんが操縦席を放り出し駆け出す。

先の見えない行動に戸惑いながら、手を引かれた先は…-。

なんと、巨大な大案山子から出て、その目の前だった。

〇〇「リ、リーヤさん……?」

リーヤ「もう、これ以外に方法はねえ……。 お前は俺の後ろに隠れてろ」

有無を言わせぬオーラをまとい、リーヤさんが私を背後へ回す。

(いったい何を……する気なの?)

激しい胸騒ぎと、妙な高揚感を胸に抱えたまま……

荒れ果てた街中に降り立った私は、リーヤさんの背中を見つめていた…-。

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