月SS 時計探しの旅の果て

〇〇さんと二人、失くしてしまった時計を探して国中をかけ駆けまわる。

そして、ついに……

クロノ「ああ……っ、私の大切な時計……!」

(やっと……やっと、見つけました~!)

手の中で光る時計に、私はホッとため息を吐く。

〇〇「クロノさん、ようやく見つかりましたね」

クロノ「はいっ!」

(もう、絶対に失くしません!)

手のひらに載せた時計を、そっと包み込む。

そして…-。

〇〇「!?」

私は〇〇さんの目の前で、時計に頬ずりをする。

クロノ「全部全部、一緒に探してくれた〇〇さんのおかげです!」

〇〇「そんな……諦めなかったクロノさんが頑張ったんですよ」

(違います! そんなことありません! だって……)

私は、ぐっと〇〇さんに顔を近づけた。

〇〇「ク……クロノさん、ちょっと、近いです」

なぜか〇〇さんは恥ずかしそうにしていたものの、跳ね上がりそうなほどの喜びが抑えきれなくて……

クロノ「だって、私、今とっても嬉しいんです!この嬉しさを〇〇さんとも分け合いたくて。 もう、嬉しくて嬉しくて、このまま月までだって跳べそうですっ!」

溢れ出す思いを口にすると、〇〇さんが笑い返してくれる。

そうして、二人で喜びをわかち合った後……

クロノ「でも、貴方にはご迷惑をおかけしてしまいましたか?」

ずっと連れ回してしまった〇〇さんに、申し訳ない気持ちを抱きながら尋ねると、彼女は小さく首を振って……

〇〇「そんなことはないです。自分がアリスになったみたいで、とても楽しかったので」

(そうですか……それなら安心しました)

クロノ「アリスは消えてしまったけれど、新しいアリスが誕生しましたね」

小さくウインクをすると、〇〇さんが再び笑みをこぼした。

そんな彼女に、微笑み返した後……

クロノ「聞いた話によると、アリスはたくさんの人から愛される女の子だったみたいです。 ふふっ。〇〇さんと同じですね!」

〇〇「そんな、私は…―」

クロノ「……でも」

私は、〇〇さんのすべすべの頬っぺたに手を添えた。

クロノ「ごめんなさい。私、貴方のことをひとり占めしたいです」

〇〇「え……?」

不思議そうに首を傾げる〇〇さんに、私は言葉を続ける。

クロノ「友達や家族や、お城の皆。大切な人達全員に、貴方を紹介したいなって思ってるんですけど……。 今は、ちょっと不安なんです。 貴方は、とっても素敵な人だから……すぐに皆が好きになっちゃいそうで」

〇〇「クロノさん……」

(私……いつから、こんなにやきもち焼きになってしまったんでしょう?)

彼女と出会ったことで大きく変わった自分に、少し戸惑ってしまう。

すると……

〇〇「クロノさんこそ、本当に素敵な人だから……。 私の方が心配です」

クロノ「えっ?そ、そんなこと……!」

(大好きな貴方から、そんなふうに言われるのは……)

(わわわ、どうしよう!すごく恥ずかしいです~!)

慌てて首と手をぶんぶんと振ると、〇〇さんがクスッと笑う。

そのとっても幸せそうな微笑みに、恥ずかしさや戸惑いは少しずつどこかへ行ってしまって……

クロノ「えっと、こんな私ですけど……。 これからも、ずっと傍にいてもらえますか? 一緒にいるうちに……私、貴方のことが大好きになってしまいました」

心の中に生まれたきらきらした気持ちを、言葉に変える。

すると、〇〇さんは……

〇〇「はい。ずっと、一緒にいましょうね」

そう言って、私の大好きな笑顔を見せてくれたのだった…-。

おわり。

<<月最終話