(冷たい…)
その感覚に、そっと目を開ける。
(ここは…?)
ぼんやりと、荒削りの木の天井が見える。
城の兵士「お、起きたか」
○○「…?」
城の兵士「すまないな。あんたを逃がさないようにと、国王様のご命令なんだ」
(そうだ、私、何かで口を塞がれて…!)
体を起こそうとするけれど、手と足を縄できつく縛られていて身動きが取れない。
城の兵士1「次の指示があるまで、悪いがもう少しそのままでいてもらう」
(…!)
縄を解こうと力を入れても、手首を締めつけるばかりだった。
(寒い…)
再び意識が朦朧とし始めた時…。
言祝「○○!」
(…言祝…さん?)
言祝「お前達…今すぐここから立ち去れ!!」
城の兵士1「しかし、国王様が!」
言祝「俺の言うことが聞けないのか?」
城の兵士2「…」
言祝さんの剣幕に、見張りの兵士達は怯えながら去っていった。
言祝「○○…」
言祝さんはすぐに私に駆け寄ると、私を戒めていた縄を解いてくれた。
痣になってしまった手首の縄の痣を見て、彼は私を強く抱きしめた。
言祝「…すまなかった。こんな目に合わせてしまって」
○○「言祝さん…」
冷たくなっていた体が、言祝さんの熱で温かくなっていくことを感じる。
言祝「俺は、父上の言いなりのかっぽな人間だ」
彼は私を見つめながら、言葉を続けた。
言祝「でも…今、これだけは言える。 くだらない争いに君を巻き込みたくない」
震える手が、私の髪に触れる。
ゆっくりと撫でる指先から、言祝さんの優しさが伝わってきた…ー。