優しい月明かりが差し込む夜の廊下に、私達二人の影が伸びる…-。
カイネ「実は……〇〇さんに、お願いしたいことがあるんだ」
彼の声が、静かな廊下に響く。
〇〇「お願いって……?」
真剣な表情で切り出され、戸惑いながら彼の言葉を待つ。
カイネ「……ちょっと待ってね……! やっぱり緊張するなぁ」
カイネ君は胸に手をあてて、一回大きく深呼吸をした。
(なんだろう?言いにくいことなのかな?)
心配になって顔を覗き込むと、カイネ君ははっと目を見開く。
カイネ「ごめん! ボク、〇〇さんに心配かけちゃってるよね……!」
〇〇「カイネ君、どうしたの?」
(困っていることがあるなら、私にできることであれば協力したいし……)
カイネ「違うんだ、キミを心配させるようなことじゃなくて……」
カイネ君はもう一度深く息を吐き出した後、少し照れ臭そうに微笑む。
カイネ「百福の桃を採りに行くから、一緒に来てほしいんだ」
(百福の桃を……!?)
思いもよらなかった彼の願いに驚きつつも、まだ見たことのない百福の桃に私は興味を引かれていた…-。