ハルが万病に効く霊薬を求めて、ボルケウスを倒しに向かって数日…―。
一向に帰る気配のないハルが心配で、私は病も厭わずに彼を探しに出た。
ボルケウスが生息するという森には、様々な植物が鬱蒼と生い茂っていた。
(ハル……どこにいるの?)
必死に彼の姿を探すも、病魔に侵された体はあまりに不自由だった。
○○「……っ」
高熱に眩暈を感じて、ついにその場にしゃがみ込んでしまう。
(だめだ、どこにもいない……)
(このままハルに会えなくなるなんて、絶対に嫌……でも……)
一度、不安が胸に広がってしまえば、悲観的な未来が次々に浮かび上がる。
――その時だった。
○○「!?」
どこかから、獣の唸り声が地鳴りのように響いていた。
(嘘……この近くに何かいる!?)
全身からさっと血の気が引いた。
木陰に隠れるようにして、森の奥を見れば…―。
○○「……っ!!」
そこには人の二倍はあるだろう巨大なモンスターの姿があった。
羽根と太い尾を持った、見たこともない4本脚のモンスターだ。
(……怖い!)
圧倒的な恐ろしさに足が竦み、体が震え出す。
しかしその時、運の悪いことにそのモンスターと目が合ってしまった。
○○「……!」
けたたましい咆哮を上げて、モンスターが私めがけて突進してくる。
(助けて、ハル…―!)
固く目をつむった時だった。
ハルディーン「○○っ!!」
○○「え!?」
鋭い金属音が響き、私の前に黒い影が躍り出る。
ハルの剣が、モンスターの一撃を受け止めていた。
○○「ハルっ!!」
会いたかったその人の姿を見て、涙が浮かんできてしまう。
ハルディーン「バカ野郎!そんな体で無茶しやがって!」
ハルは私の体を軽々と抱えて、モンスターの目元を狙い鋭い一撃を繰り出す。
モンスターが一瞬たじろいだ隙に、彼は私を少し離れたところにある岩陰へと下した。
ハルディーン「ここから動くな。オレは今からアイツを倒す」
○○「そんな!危ないよ、一緒に逃げよう!?」
ハルディーン「できるかよ!ここ数日探し続けてようやく見つけたんだぞ!?」
○○「えっ、ならあれが……ボルケウス…―」
衝撃に言葉を失う。
その瞬間、ハルは二本の剣を両手に構えて、ボルケウスの前に飛び出した。
ハルディーン「来い!オレが相手になってやる」
ボルケウスは凄まじい咆哮を上げて、ハルに襲い掛かる。
しかし彼は生い茂る木々を味方につけて、華麗な動きで攻撃を避けては、鋭い連撃をボルケウスに叩き込む。
ハルディーン「そこだっ!!」
二本の曲刀を巧みに使った攻撃が、ボルケウスの鼻先を切り裂いた時…―。
〇〇「ハル、逃げてっ!!」
ハルディーン「……っ!?」
追い詰められたボルケウスは、ハルに向けて、大きな尻尾を振り下した――。