穏やかな音楽が流れる店内で……私達の間に沈黙が横たわる…-。
何かを考えるように黙り込んでいたシュニー君は、ふと顔を上げておじいさんを見つめた。
シュニー「騎士の精神って……何?」
おじいさん「ふむー……一言では説明できませぬなぁ」
シュニー「何それ。じゃあ、偉そうなこと言わないでよ」
おじいさん「ほっほっほ……ではシュニー様、あなたの一番大切なものはなんですか?」
シュニー「……一番大切なもの?」
突然の問いに、シュニー君はきょとんと目を丸くする。
でもそれからすぐに、自信満々の表情で顎を上げた。
シュニー「そんなの決まってるでしょ。 高潔なる雪の一族として、スノウフィリアを守る。それが一番大切なことだよ」
おじいさん「ほっほ、さすがは国を背負う立派なお方……花誓式が楽しみですなぁ」
シュニー「……?」
自分の言葉に相手が感嘆の声を上げることに慣れているせいか、おじいさんの反応に、シュニー君は不思議そうな顔をしたまま目を瞬かせる。
そんなシュニー君を楽しげに見つめ、おじいさんが席を立った。
おじいさん「いやはや、お邪魔してしまいました」
おじいさんは丁寧に頭を下げると、ゆっくりとカフェを出ていく。
シュニー君はその背中を見つめながら…-。
シュニー「……変なの」
ぽつりとそうつぶやくと、頬を膨らませながら飲みかけの紅茶を一口すすった…-。