屋根を伝い、私達は人気のないホールへ忍び入った。
グウィード「ここから出れば大通りに抜けられる。逃げるんだ、子猫ちゃん」
〇〇「でもグウィードさんは……」
グウィード「大丈夫。あいつらが用があるのは僕だから」
私の頬を撫で、グウィードさんがウインクをする。
グウィード「早く行くんだ」
〇〇「でも、今離れたら……」
グウィード「……」
〇〇「また会えますか? グウィードは私と会ってくれますか?」
グウィード「……僕と一緒にいると、子猫ちゃんまで危険にさらされてしまう。 さよならだ、子猫ちゃん」
〇〇「っ……!」
その時、無数の足音がホールに響き、私達の方へと近づいて来ていた。
グウィード「またいつか……星空の夢の中で」
私に背を向けて、グウィードさんがホールの中央に歩み出る。
〇〇「グウィードさん……!」
柱の陰から動けず、私はただ、ミモザの花冠を抱きしめた…-。