しばらく見つめ合った後、グレイシア君の方が先に目を逸らした。
その視線の先にあるのは、スノウフィリア城…―。
(さっき、城へ戻るように言われてたみたいだけど……)
○○「あの……大丈夫ですか?お城、戻らなくて」
グレイシア「どうするかな……」
軽く腕を組んだグレイシア君の指先が、きゅっと握りしめられる。
(グレイシア君……一人じゃ戻りにくいのかな?)
私は少しだけ勇気を出して、グレイシア君に微笑んだ。
○○「大丈夫ですよ、一緒に行きましょう? お兄さん、きっと心配してますよ」
グレイシア「お前が一緒に?」
○○「はい」
グレイシア君は意外そうにまばたきを繰り返す。
(ついてくるなって、言われるかな……)
グレイシア「……」
グレイシア君はしばらく黙った後、
何かを振り切るかのように、もう一度スノウフィリア城の方角に顔を向けた。
グレイシア「そうだな、戻るか。ずっと会わないわけにもいかないもんな」
グレイシア君の言葉に、私は頷く。
こうして私達は城へと二人で赴くことになった。
厳めしい城門をくぐり、ついに城の人々にグレイシア君が姿を見せる。
女官「まあ……!」
スノウフィリアの大臣「な、なんと……!」
城の人々が、驚き一色に染まった…―。