月9話 渦巻く憎しみ

ゲイリー「呪いに……負けてしまったようだ……」

ゲイリーさんは、放心しきったような顔でつぶやくと、ふらりと私に背を向けた。

〇〇「ゲイリーさんっ!」

ゲイリー「離せ!」

〇〇「っ!」

思わずしがみついた手を、ぱしりとはね除けられる。

ぎりっと怒りに燃えた瞳が私に向けられた。

けれども私がびくりと体を震わせると……

ゲイリー「俺は……何を……」

ゲイリーさんは、ふっと意識を取り戻したように顔を歪めた。

〇〇「ゲイリーさん、大丈夫ですか!?」

ゲイリー「……苦しい。体中に、憎しみが渦巻いている……」

〇〇「しっかりしてください! ゲイリーさん」

苦しげに顔を歪めたまま、ゲイリーさんは頭を抱え込み、ひざをつく。

私は、彼の背にそっと手を添えた。

ゲイリー「頼む。俺を……一人にしてくれ。 一人なら、誰かを傷つけることもない……」

〇〇「そんなことできません! ゲイリーさん、どこに行くつもりですか……。 私を助けるために、こんなことに……なってしまったのに」

ゲイリー「……呪いのせいだ。全ては……あの女が!!」

〇〇「やめて、ゲイリーさん……!」

ゲイリーさんの優しい微笑みが思い起こされて、切なさがこみ上げる。

ゲイリー「……俺は……」

〇〇「……いつかきっと、憎しみはなくなります。 そのために私も、これからも傍にいさせてください。 あなたの助けになりたいです」

ゲイリーさんの震える手が伸びてきて、きつく私を抱き寄せた。

ゲイリー「ありがとう……○○……」

絞り出すような声で紡がれた言葉に、私の胸が痛いくらいに締めつけられていた…―。

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