背の高いジェリーは少し身をかがめ、私の言葉に耳を澄ましてくれる。
ジェラルド「……なるほど、いい考えですね!」
ぱあっと、ジェリーの顔が輝き出す。
スタッフ1「ジェラルド様?」
ジェリーは私を見つめた後、スタッフの方達に向き直り…―。
ジェラルド「話題性が必要とのことなので、明日のオープン初日……。 メリーゴーランドのスタッフとして僕も入ります!」
私がジェリーに提案した内容を、高らかに彼らに告げた。
スタッフ1「で、でもそんなことすれば、ファンの人達に騒がれて大変なことになるんじゃ……」
○○「直接、お客さんとは触れないような場所に立ってもらうのはどうでしょうか。 続編を記念しての、オープン初日のサプライズとして……」
スタッフ「けど……」
スタッフの方達は、なおも不安そうな顔で……
(そうだよね……簡単なことじゃない)
すると、ぽんと私の肩に手が乗せられる。
○○「ジェリー……?」
ジェラルド「大丈夫です。 ……いつも僕の作品を楽しみにしてくれているファンの人も来てくれるわけだし。 その人達のためにも、たまには裏方に回ってみんなの笑顔を作る手伝いをしたいんです」
真摯なジェリーの声色が、その場の空気を変えていく。
スタッフ1「……そうですね。なんたってジェラルド様あっての映画ですから」
スタッフ2「皆に伝える方法としては、効果的です! さっそく、企画を詰めてみましょう」
スタッフの方達は笑顔を浮かべ、皆で話し合いを始めた。
○○「すごい……」
ジェラルド「すごいのはあなたですよ?」
おもむろに、ジェリーが私の手を取る。
ジェラルド「ありがとう、○○」
○○「……っ!」
そっと手の甲に触れた彼の唇の感覚が、私の胸を甘く波立たせた…―。