月SS 彼女を探し求めて

今日も太陽が、輝かしい朝を届けている。

まばゆい朝のエネルギーを受けながら、オレは弟と剣の特訓に励んでいた。

(正直言えば、眠い。まだ眠っていたい時間だ! だが……!)

オレの後ろには、オレの雄姿を見ようと〇〇が座っている。

(〇〇が見ているなら、オレはどんな練習だってこなせる!)

オレは意気揚々と彼女の方を振り返る。

そこには、あの女神のような優しい微笑みが…-。

アインツ「いなーい!!」

どういうことだ…-。

練習を見ていたはずの〇〇の姿が煙のように消えている。

アインツ「神隠しか……? いや、それともあまりのかわいさに誰かが攫ったのか!?」

オレの背筋に、冷たいものが走る。

だがその時!

アインツの弟「彼女ならさっき城の中に入って行ったよ」

弟が、憔悴したオレにさらりと言い放つ。

(全く、クールな弟だ。オレはこんなに不安に胸を掻き乱されているっていうのに)

アインツ「悪い、練習はまた後だ」

アインツの弟「え?」

アインツ「練習より大事な事ができた」

(弟よ、お前もいずれ知る時が来るだろう!)

オレは弟を残して城の中へ入った。

消えてしまった女神を探すために…-。

アインツ「おかしい……どこにもいないぞ」

歩けど歩けど、〇〇の姿が見当たらない。

アインツ「なぜだ? ここはオレの知っている城じゃなく、異空間なのか!? もしかして、大会でオレが活躍できないように、何者かが彼女を……?」

オレは、もっとも恐ろしい推理に行き当たる。

アインツ「オレの実力に恐れをなした何者かが、攫ったのか!?」

(だが、なんで彼女を……?)

確かに〇〇はオレの客人だ。

アインツ「だがそれ以外になんだって言うんだ?」

オレは〇〇のことを頭に思い浮かべる。

(確かに、〇〇はかわいい)

(笑った顔は花のようだし、瞳は星の輝きよりも煌めいている!)

(傍にいると、気持ちが高揚してオレは空も飛んでしまえる気がする!)

(もしも他の男が彼女を攫ったとしたら?)

想像するだけで、オレの胸に怒りが込み上げてくる。

アインツ「早く探し出さなければ……!」

そう、心に闘志を燃やした時…-。

探し求めていた女神を調理場で見つけた。

(無事だったのか!)

オレはホッと胸を撫で下ろした。

彼女は俺に気づかずに、何かを作っているようだ。

(いったい何を一生懸命作ってるんだ?)

〇〇「よし、これで完成かな?」

〇〇が嬉しそうにクリスタルの容器を掲げる。

オレはこの時、まだ知らなかった。

彼女がまさか、オレのためにレモネードを作っているとは…-。

アインツ「何を作ってるんだ? 〇〇」

今までの狼狽を悟られないよう、オレは平静を装って彼女に話しかけた。

〇〇「ア、アインツさんっ! これ、レモネードです。運動後にちょうどいいと思って」

(まさに女神の微笑み!)

アインツ「飲んでいいか?」

〇〇「どうぞ」

オレはグラスを受け取ると、レモネードを口につけた。

甘酸っぱさが、喉を通り抜けていく。

(これが恋の味か……)

オレは飲み干すと同時に、〇〇への想いを自覚した…-。

おわり。

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