月5話 現実へ……

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ドーマウス「……でもね、僕、アリスちゃんのことはわかるよ……とーーっても、優しかったんだあ。 僕の頭をね、よしよしって、いつも撫でてくれたんだよ。 いったい、どこに行っちゃったのかなあ……会いたいなあ」

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翌日…―。

静かに陽射しが差し込む窓際で、私は女王様から聞いた話を思い出していた。

女王「だからもうずっと前に世界はアリスを失って姿を変えてしまったのに、そのことを知らなくて。 真実を知ってしまったら、あの子はどれだけ悲しむか」

(でも、このままだと……)

胸の前でぎゅっと、手のひらを握りしめる。

私はドーマウス君に会うため、彼の部屋へ向かった…―。

ドーマウス君は昼でもやっぱり、ベッドの中で青い顔をして、目を擦っている。

ドーマウス「あ……○○ちゃんだあ」

すっかり私に懐いてくれたドーマウス君が、嬉しそうに笑みを浮かべる。

けれど…―。

○○「私……あなたに大切な話があるの」

ドーマウス君の眠そうな瞳に、真っ直ぐに視線を向ける。

ドーマウス「僕に……?」

○○「ドーマウス君……この世界のこと、ちゃんと見に行こう?」

ドーマウス「え……?」

(かわいそうだとは思うけれど……)

私は、眠気でぐずるドーマウス君をなんとか揺り起こしながら、街へと連れ出した…―。

……

私は以前彼とアリスさんを捜した、街の中心部を訪れていた。

○○「ドーマウス君……目の前に、何が見える?」

ドーマウス「えぇ……変なの、○○ちゃん……」

ドーマウス君は、焦点が定まらない瞳を細める。

それはまるで、ここではないどこかにいるようで…―。

ドーマウス「大きな木が……あるでしょ? この前、アリスちゃんと来た…―」

○○「……っ」

私は、ドーマウス君の頬を両手で包んだ。

○○「ちゃんと、見て……ドーマウス君。 もう、大きな木も、街はずれの公園も、アリスさんも……ここには、いないんだよ」

ドーマウス「ふえ……え?」

私の言葉に、ドーマウス君の瞳が色を帯びていく。

ドーマウス「ここは……あ、あれ……?」

その目にしっかりと輝きが灯された時、彼はその場に立ち尽くした…―。

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