月SS 夢から覚めた朝

目を覚ますと、僕はお部屋のベッドの中にいた。

(あれ……僕……)

窓から入ってくる光が、キラキラと輝いている。

(こんなにぐっすり眠ったの……久しぶりかも)

光を追って、僕は窓の外を眺めた。

(そっか……スリープバレイは変わっちゃったんだ……)

僕はこの目で確かに見た。

大きな木も、街はずれの公園も、もうこの世界にはなかった。

(そっか……アリスちゃんも……この世界にいないんだ……)

ドーマウス「……アリスちゃん」

(アリスちゃんがいない世界なんて、つまらないよ……)

胸がぎゅっと痛くなる。

苦しさに耐えきれず、涙がこぼれてしまいそうになる…―。

○○「ん……ドーマウス君……」

(えっ……)

その声に、僕の意識が水をかけられたようにはっきりとした。

ドーマウス「……」

○○ちゃんが、小さな寝息をたてて眠っている。

いつの間にか、胸をぎゅっとしていた痛みもなくなっていた。

(○○ちゃんは、アリスちゃんに似てる……)

僕はじっと、○○ちゃんの顔を眺めてみた。

(でも、アリスちゃんとは違う……)

ドーマウス「どこが……違うのかな? う~ん」

○○ちゃんの髪を触ってみる。

次は、ほっぺたを触ってみた。

(あったかくて、柔らかい……)

ドーマウス「あれっ……」

胸がまた、ぎゅーっと痛くなった。

だけど…―。

ドーマウス「あれっ、あれれ……?」

今度は、ぎゅーっとなった後に、胸の奥があったかくなっていく。

(あれ……? 僕……今、寂しくない……??)

(○○ちゃんが……そばにいる……から?)

そんなことを、しばらく考えていると…―。

ドーマウス「ふぁぁぁ………」

また突然、眠気が襲いかかってきた。

(こんな世界なら……眠っちゃってもいいかなって……思ったけど)

僕はちらりと、○○ちゃんの寝顔を見る。

(○○ちゃんがそばにいるなら……)

(この世界だって……ちゃんと生きていける気がするんだ……)

ドーマウス「可愛い……寝顔……」

(○○ちゃん……早く起きないかなぁ)

僕は、○○ちゃんの唇を指でそっと触ってみる。

(ふわふわだ……)

(そうだ……○○ちゃんが起きたら……キスしてもらおう)

そうしたらきっと、僕はもう泣くことはない……

(アリスちゃんが、いなくても)

○○ちゃんの寝顔を見ていると、

僕は魔法にかけられたような心地になるのだった…―。

おわり。

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