そして、夜は明けた…-。
天より光の指す祭壇で、今、私は女神の祝福を受けようとしている。
人払いがなされた祭壇の中央には、先日私へ洗礼を授けた神官が立つ。
そして横には…-。
オルガ「……」
尊大な笑みを浮かべたオルガさんの姿があった。
アフロスの神官「あなたはこの者・オルガを夫とし、生涯、愛することを誓いますか?」
〇〇「私は……」
(もし、この先を口にしてしまったら……)
そう考えると、言葉が喉元より外に出ない。
ただ悲しみだけが胸にあふれてきて、視界が涙に溶けてゆく。
〇〇「……すみません! あなたじゃない!!」
オルガ「な! 姫君……っ!?」
悔しさとも切なさとも知れない気持ちに、ブーケを投げ捨てる。
その場からそのまま走り去ろうとすると……
〇〇「……!」
すぐさま目の前をオルガ一族の兵士達により塞がれた。
オルガ「姫君、これは女神の神託だと言っただろう……少し思い知らせてやらないといけないな」
〇〇「……」
オルガさんの大きな体が、私ににじり寄る。
苛立ちを含んだ声と、にやついた笑みが近づいてくる。
(怖い……)
(助けて……アヴィ!)
祈るような気持ちで、目を閉じたその時、神殿の扉が開け放たれると、その場にはアヴィが立っていた…-。